10月1日、将棋界に新たなスター候補が誕生した。伊藤匠四段(18)は、今月10日に誕生日を迎えたばかり。3カ月弱ではあるが、藤井聡太二冠(18)より若く、現在の将棋界では最年少になる。プロ入りとなる四段昇段時の記者会見では「藤井二冠に追いつきたい」と語り、その実力がファンも気になるところだが、プロの間では既にその実力が発揮される場面があった。プロ入り早々にタイトル挑戦を果たした本田奎五段(23)が明かしたのは、実力者たちを早指しでなぎ倒したというエピソードだった。
本田五段は、超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」で、タイトル経験者のベテラン三浦弘行九段(46)、新人王戦での優勝歴もある高野智史五段(26)とチームを結成、本戦出場を果たすなど活躍した。大会前までほぼ交流がなかった三浦九段とは、大会後も「定期的に教えていただいています」と、研究仲間に加えてもらっているという。
この大会に向けての練習会で、光る才能を見せつけたのが、当時三段だった伊藤四段だ。「(対局の)前日にチームで集まって将棋を指したんですが、3人なので1人余っちゃう。だからもう1人、伊藤匠君を呼んで4人で12局ぐらい指したんです」と練習パートナーとして声を掛けたのだが「そうしたら伊藤くんが、ぶっちぎって勝ってしまった」と笑った。本戦では1回戦、準決勝とそれぞれ練習会を開いたが、どちらも伊藤四段が“優勝”。「10代は強いですね。手の見え方が違う。若さと実力がありますね」と絶賛した。
なお本田五段と伊藤四段は、同じ宮田利男八段(67)の門下。「(伊藤四段が)二段か三段ぐらいからよく指していました」と振り返ると、「(四段に)上がれるか心配だったというか。同門でも普段指している人が年齢制限で辞めてしまうと寂しいというのもありますし、それが仲のいい奨励会員だとつらいところもあります。周りの人を祝えるのは稀」とも語り、伊藤四段のプロ入りを心から祝福している様子だった。
(ABEMA/将棋チャンネルより)