「水月会の会長を辞したいということを申し上げた。過去4回総裁選挙に立候補したが、結果は出せなかった」
22日、「水月会」の派閥会長を辞任することを突如表明した、自民党の石破茂元幹事長。“石破氏を総理大臣にするために集まった集団”の会長を辞任し、この先政治家としてどこへ向かうのか。23日の『ABEMA Prime』に石破氏が生出演し、考えを明かした。
派閥について「なくならない。なくしたくない」と話す石破氏。石破氏が会長を辞めても派閥が残ることを“死んだふり”とする見方について、「派閥にはスピリットというものがある。政策集団として政策をきちんと錬磨しないでどうするのか、言うべきことも言わないでどうするのか、理屈ばかり言って選挙に弱くてどうするのかという水月会スピリットは、今後も残していかなければならない。もちろん政調会で政策は議論しているが、30年先、50年先、100年先の日本をどうするのか、そのために今何をしなければならないのかということを大真面目に議論する集団は、自民党に絶対必要だと私は思っている。ただ、期待に応えられなかったから、ここで一旦けじめを付けるというのも私の生き方だ。それには色々な見方があるが、“死んだふり”とかは、私は忍術使いではないのでやるつもりはない」との考えを示す。
そんな石破氏に対し、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「石破さんが仲間を増やすのは不得意なのは皆分かったわけで、どこかの知事をやった方がいいのではないか。それで、“石破さんの地域だけすごく幸せになりました”という方がまだ分かりやすい」と持論を展開する。
これに石破氏は「私の父親は、建設事務次官を辞めてから知事を15年やって、その後国会議員を8年くらいやって死んだ。もう40年も前のことだが、知事にものすごいやりがいと誇りを持っていた。私も(国会議員を)35年やっていて何度か機会はあったが、そういう選択をしないで今に至っている。直接民主制で、自分の判断によって地域がガラっと変わっていくのは町長でも市長でも一緒だが、政治家としてそっちの方がやりがいがあるだろうなと思ったことは何度もある。国会議員でなければできないことは何かと言うと、突き詰めると外交安全保障と憲法だろう。あとは、財政と金融政策、教育の根幹。そういうものにいかに主体的に自分の考え方を反映させるかが、結局国会議員でいるということの分かれ目だ」と述べた。
石破氏は“総理を諦めた”のか。慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「すでに何度も大臣を経験されているので、一般的な国会議員の出世ルートというところだと“あとは総理だけ”という状態だ。しかし、総理は自民党をまとめないといけない。それが苦手だと言われている石破さんにとって、政治家として残された道、世の中に影響を与えていくシナリオはどういうものがあるのか」と尋ねる。
石破氏は「これは何十回も言っているが、総理というのは手段であって目的ではない。“何がなんでも総理になりたい。なって何していいのか分からない”というのは、国民にとってえらい迷惑だ。一方で、いかなる経緯にせよ菅政権ができて、我々のメンバーも大臣や副大臣になって政府を構成している。国民の期待に応えていかに良い仕事をするかということをやるのも私の仕事だと、本心から思っている」と答えた。
さらに、ひろゆき氏が「石破さんは政治学者ではなく、政治家だ。いつかは自分の言っていることを実現させたいというものがあってやっているわけで、まずは黙って閣内に入って、派閥を作って人気を得て、総理大臣になってから初めてやりたいことを実現するという方が本当にやりたいことではないのか」とぶつけると、「何度も考えた。長くやっていて『これはおかしい』『これは違うだろう』ということがあったが、“違っていても隠忍自重でものを言わない、大臣職を全うする、いつかはなるぞ総理大臣”という生き方とは私は違うということだ」とした。
では、石破氏は今後どのように動くのか。「菅政権を支援していく形で活動するのか」との質問には、「例えば、安倍さんと私とでは憲法9条に対する考え方は根本から違う。それを言うと、“批判をするのか”“後ろから弓を射るのか”という話になるが、意見を述べることがネガティブな評価になると、怖くて誰も言わなくなる。それは本当に正しい言論空間なのか」とのスタンスを示す。
その上で、党内のバランスについて、「今後どう展開するのかは分からない。しかし、政策のどこが違うのか、党の在り方のどこが違うのか、時代認識のどこが違うのかという論点がクリアになってこないと、党員は選びようがない。国会議員がいて、地方議員がいて、党員の方がいてという1つの関係があるのだとすれば、自由民主党における主権者としての党員がもっと色々なことが考えられる状況は作るべきではないか」と述べた。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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