マンガやアニメなどの文化や産業の発展に取り組む超党派の議員連盟「MANGA議連」は、政府に対しコロナ禍での「コミックマーケット」の開催に向けた支援を求めた。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京ビックサイトで行われているコミックマーケットが去年の12月以降中止となるなど、同人誌の即売会などはほとんど開催できていない状況だ。
コロナ禍でどう再開できるのか。大きな課題は、新型コロナの感染防止対策と経済と社会活動の両立。議連は政府に対して、感染防止対策のガイドライン策定や収容制限に応じて「会場費を減免する」ことに加えて、「横行する海賊版サイトへの対策強化」などの提言をまとめ、提出した。
一方で、SNS上では、「コミケに生活がかかっている人もいるかもしれないが、基本趣味の世界である。これに政府が援助するなら、その前に支援すべき人たちがたくさんいる」「コミケの80%は二次創作なので、自分は政府支援する必要は無いと思う。むしろオリジナルで創作活動をしている人々を政府支援するべき」「開催するための税金補助を複雑なシステムでやるんじゃなくて、コロナに脅えること無く開催できる努力をしてください」などの反対意見も上がっている。
MANGA議連の申し入れについて、この場に同行した『ラブひな』などが代表作の漫画家で日本漫画家協会常務理事の赤松健氏は「画期的なこと」だと説明する。
「われわれ日本漫画家協会と、出版社の集合体である出版広報センター、コミックマーケット準備会、コミティア実行委員会の4団体で首相官邸に行ったが、これはすごく画期的なことで今までの常識では考えられない。まるで出版社がコミケにお墨付きを与えたかのようにも見えるし、われわれ商業漫画家も二次創作を公認したように見えてしまいかねない。なぜこうなったのかというと、コミケや同人誌といったものがそれだけ大きな存在になってきたということだ。もはやサブカルチャーではなく、メインカルチャー。コミケやコミティアは商業作家の養成所的な役割も担っているし、クリエイターの卵の宝庫だ」
提言では、海賊版の対策強化や、「メディア芸術ナショナルセンター」新設へ臨時国会への法案提出を目指すことを申し入れた。メディア芸術ナショナルセンターでは、漫画やゲームに関する資料を収集・保管し、情報発信するというが、どういったメリットがあるのか。
「昔、日本の浮世絵が海外に流出してしまったことがある。現代だと漫画の生原稿やアニメや特撮、ゲームの資料などが流出・散逸しないように正しく保管すべきだ。アニメやゲーム、漫画はクールジャパンの根幹なので、丁寧にアーカイブして展示もできるようにし、海外にアピールしつつ、できればマネタイズまで狙っていければ良い」
電子ではない紙の生原稿は、漫画家が亡くなってから遺族が取り扱いを役所に尋ねると、“燃えるゴミ”とするような回答が返ってくるという。赤松氏は「貴重な文化財が廃棄されないように、何とか手を打たないといけない」と危機感を示した。
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