輝かしい実績を誇るベテラン雀士たちによる大熱戦を制したのは、45歳にして最年少の“リーチ超人”だった。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」11月3日の第2試合で、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)がオーラスの劇的な逆転で早くも4勝目を挙げ、個人スコアの首位を独走。4選手それぞれが持ち味を遺憾なく発揮した“マスターズ”対決に、麻雀ファンも「おじさんたちすごすぎ」「ベストバウト」と大満足の様子だった。
対局者は、起家から村上、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)、TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)。63歳の前原を筆頭に、57歳の近藤、50歳の瀬戸熊、45歳の村上と、平均年齢にして53.8歳という一戦となった。
それぞれが自団体の最高峰タイトルを複数回に渡って獲得している猛者揃いの一戦に、解説を務めた渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)も試合前から「重厚なメンツ。4人で鳳凰位と最高位何回取ってるんだ」と興奮を抑えきれず。実際の対局でも、各選手がそれぞれの実績に恥じない濃密な闘牌を演じてみせた。
得意のリーチで攻める村上に対して、ヤミテンを駆使して高打点のアガリを決める瀬戸熊。放銃を恐れない前原を交えた3選手の激しい叩き合いの中、近藤はアガリはなくとも放銃もしない盤石の構えで点棒を減らさずに追いすがる。村上は南2局に前原からリーチ・ドラ・赤・裏の8000点を直撃して一時トップ目に立つも、直後の南3局でここまで息を潜めていた近藤に8000点(供託1000点)を放銃。僅差のトップ争いを演じる近藤、瀬戸熊に対し、村上もトップまで約8000点差の3着目という大混戦のままオーラスを迎えた。
南4局は4者の思惑が入り乱れる展開に。ドラの發をポンしていち早くテンパイを入れた親の近藤だったが、村上のホンイツ気配の鳴きを受けて一旦オリを選択。するとこれを察知した瀬戸熊が仕掛け、近藤のノーテン罰符による逆転を狙う。しかし近藤は意地のテンパイ復活を果たし、直後に近藤の当たり牌の二万を掴んだのはラス目の前原だった。自身もテンパイしていた前原だったがこれをピタリと止め、結果は近藤、村上、瀬戸熊の3人テンパイで流局。全選手が見せ場を作った息詰まる攻防戦に、解説の松本は「これは美しい。すごい局になりましたね」と感嘆した。
続く1本場では、好配牌を手にした親の近藤が5巡目に先制リーチ。勝負は決したかと思われたが、村上も手を進めて9巡目に追っかけリーチを敢行した。山に残ったアガリ牌の枚数は近藤の4枚に対して、村上は2筒の1枚のみ。しかしここで村上が驚きの一発ツモを決め、リーチ・一発・ツモ・タンヤオの8000(+300点、供託1000点)で一気に近藤と瀬戸熊を逆転。それぞれが培った技術と精神力がぶつかり合い、麻雀ならではの運命のいたずらが勝敗を分けた熱戦を見届けた視聴者からは、「おじさんたちすごすぎ」「ベストバウト」「めっちゃ面白かった」「神局」「すばらしい対局だった」と絶賛のコメントが無数に寄せられた。
劇的な逆転トップに興奮が冷めやらない様子の村上は、試合中と同様に紅潮した顔で勝利者インタビューに登場。自身5戦4勝の大活躍にも謙虚に反省点を口にしつつ、オーラスの2筒ツモがラス牌だったことを明かされると「本当ですか?そんなことあるんですね……。麻雀って本当に不思議だなと思います」と驚きを隠さなかった。開幕から1カ月足らずで+248.5ポイントという数字を叩き出した村上の活躍もあり、レギュラーシーズンの5分の1を終えて首位を快走する赤坂ドリブンズ。初代王者の猛烈な勢いを止めるチームは現れるのか、今後の展開にますます注目が集まりそうだ。
【第2試合結果】
1着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)3万4700点/+54.7
2着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)2万9100点/+9.1
3着 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)2万8200点/▲11.8
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)8000点/▲52.0
【11月3日終了時点での成績】
1位 赤坂ドリブンズ +342.3(18/90)
2位 EX風林火山 +250.6(18/90)
3位 渋谷ABEMAS ▲16.8(18/90)
4位 KADOKAWAサクラナイツ ▲56.5(18/90)
5位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲92.5(18/90)
6位 セガサミーフェニックス ▲139.2(18/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲140.2(18/90)
8位 TEAM雷電 ▲147.7(18/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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