世界的に知られるMMAファイター・青木真也が“失神負け”を喫した。
舞台は11月3日のDDT・大田区総合体育館大会。青木はEXTREME級王座防衛戦で“大社長”高木三四郎と対戦した。ルールはウェポンランブル。お互いが持ち込んだ“公認凶器”が次々と投入されるDDT名物だ。しかも凶器はモノに限らない。助っ人選手が登場するのは当たり前。過去には選手の携帯番号が生中継で晒されたこともある。
今回のタイトルマッチは青木自ら挑戦者を指名して決定。しかし試合直前になって急にやらないと言い出した。調印式でもサインを拒否。青木は「婚姻届けと離婚届けと調印書はサインしたら終わり」と謎の名言を残していた。青木は家族と離れて暮らしており、これは試合でもプライベートに踏み込むという意味があったのかもしれない……今思えば。
高木側のウェポンとして、過去に青木に2度勝っている桜井“マッハ”速人が登場するなどDDTらしい展開の中、クライマックスでウェポンとして登場したのは「暴露トーク」。まずは青木側ウェポンとして、モザイクごしに高木を古くから知るレスラーDとSがビジョンに登場。かつて某女優と知り合った高木が「やろうと思えばやれた」と吹聴していたことを明かす。をれを聞いた証言者は「1リットルの涙が出た」と言いつつ「別に」とそっけない反応も。
しかし高木も暴露返し。映像に青木と「一戦交えた」ことがある「サユちゃん」が登場し「攻めたがりだけど全然効かなかった」、「ディフェンスは弱かったです。コロっと一本取れちゃいました」と、青木の“寝技の実力”を暴露する。さらに「暴露トーク2」には別の女性も登場し、インスタグラムのメッセージで青木にナンパされたことを明かした。「俺のあそこを絞め落としてほしい」というメッセージまで公開された青木は大ダメージ。完全失神状態となったところを高木に丸め込まれ、あえなくベルトを失うことに。
衝撃かつ屈辱の敗戦を喫し、担架で運ばれると病院に直行した青木。しかし高木は前王者を「好きなことだけやって、しかもやりたい放題。あんたの人生うらやましいよ!」と讃えた。
プロレスラーにとって大事なのは技術や体力だけでなく、喜怒哀楽すべての感情をリングにぶつけることだと言われる。さらに言えば、人生すべてをリング上でさらけ出すのが優れたプロレスラー。その意味で青木のむきだしっぷりは最低かつ最高であり、高木に言わせると「こうでもしないと青木真也には勝てない。アイツは立派なプロレスラーだった」ということになる。ちなみに暴露された高木のエピソードも「事実なのでね……いや結婚前の話ですよお互い」とのこと。DDTらしいプロレスであり、これもまた“激闘”だった。
新王者となった高木はEXTREME級王座の新路線をアピール。防衛戦はすべて路上プロレスで行ない、なおかつYouTubeで配信するという。初防衛戦の相手にはDDTの勝俣瞬馬が名乗りを上げたが、候補はDDTの選手だけではない。メジャー、インディー、どインディー、さらには一般人でもいいという。
高木のツイッターアカウントには、さっそくリプライやダイレクトメッセージで挑戦アピールが大量に届いているそうだ。有名無名関係なしの路上タイトルマッチ。そこからまたDDTらしい流れが生まれてくるだろう。
文/橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング