挑戦者の強烈なパンチをまともに被弾した王者の鼻は大きく曲がり、流血。終始劣勢の苦しい展開から、“起死回生のヒザ”で奇跡的な大逆転。鼻は曲がっても心は最後まで折れなかった王者の堂々たる初防衛にネットから「鼻折れからの感動フィニッシュだ」「一発で形勢逆転」など、感嘆の声が上がっている。
11月6日に配信されたONE Championship「INSIDE THE MATRIX II」。ONEウェルター級タイトルマッチで、王者のキャムラン・アバゾフ(キルギス)がジェームズ・ナカシマ(アメリカ)と対戦。終始劣勢だったアバゾフが起死回生のヒザ蹴りで大逆転勝利を収め、見事初防衛に成功した。ナカシマは北米の団体LFAでウェルター級王者になった実力者で、現在MMA12連勝中。昨年元UFCファイターの岡見勇信に判定勝ちを収め、現王者アバゾフとのタイトル戦に挑んだ。
試合は1ラウンド開始とともにパンチと蹴りが交錯するバチバチの展開。蹴りを皮切りに猛打を仕掛けるアバゾフに対して、ナカシマはケージを背にし、カウンター気味に強烈な左ストレートを放つ。このとき、一瞬だけ鼻をさするような仕草を見せたアバゾフだったが、この時点で鼻に大きなダメージを負っていた。
ラウンド終了時、アバゾフの顔のアップが映し出されるとABEMAで解説を務めた大沢ケンジが「鼻すごい曲がってますね…」と指摘。ゲスト解説の岡見勇信が「鼻折れてますね…」と応じた。この二人のやりとりに視聴者からも「折れてる」「めっちゃ曲がってる」など、驚きの声が殺到。しかし、何ごとも無かったかのように2ラウンドがスタートすると「これダメだろ」「ストップしないの?」と不安の声も聞かれた。
注目の2ラウンド、打撃戦の末、アバゾフがケージ際の押し込みからテイクダウンに成功するが、ナカシマが簡単に立ち上がり再びスタンドの攻防へ。激しい展開の中でアバゾフの鼻からは出血が。そんなアバゾフの様子に「このラウンドで終了だろう」「レフェリーストップを」「鼻がさらに…」といった悲痛なコメントが散見され始める。
3ラウンド、負傷や出血の影響からかスタミナが切れてきた様子のアバゾフから、ナカシマがテイクダウンに成功。試合の主導権を握る。岡見も「アバゾフは背中がピッタリついて立とうと一切していないので、かなりスタミナがない」と厳しい状況を説明する。
試合はついに4ラウンドへ。大きく胸で息をするアバゾフに対して、全く疲れを見せない無表情のナカシマ。ラウンド開始後の組合いでは、ナカシマの蹴りがアバゾフの下腹部に入って試合が中断される場面も。
依然として厳しい状況、加えてローブローという不運にネットからは「踏んだり蹴ったりだな」「もうダメだな…」と諦めの声。しかし、回復のために与えられたこのインターバルが試合結果を左右することになる。
試合再開後、再びナカシマがテイクダウンを狙う。実況を務めた西達彦アナも「もう足にも力が入っていないアバゾフです」と劣勢を伝えた次の瞬間、タックルを狙ったナカシマの顔面に、アバゾフのヒザがカウンターで突き刺さった。
出会い頭の一撃「バシッ」という音を立て、後ろによろめくナカシマ。息を吹き返したアバゾフがヒジを振り落とし、逃げるナカシマを猛追。さらにクビを掴んで倒し、再びヒザ。力なく腰をついたナカシマにアッパー2発を叩き込み、とどめを刺した。
よもやの大逆転劇に、西アナも思わず「まさかの、こんな終わり方が…!」と興奮。視聴者も「なんだこの試合」「一発で形勢逆転だ」などと続いた。なかには「鼻折れからの感動フィニッシュだ」といった“終始劣勢”からの奇跡的な初防衛を讃える声も聞かれていた。