「高校時代の飲酒写真が会社にバレたらどうしよう…」ネット上に残る“若気の至り”に人々が怯える社会
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 ネット上に残り続ける過去の発信や“若気の至り”。人はいつまでそれに怯え続けなければならないのだろうか。

 ひとたびアップされれば、簡単に消すことができない「デジタルタトゥー」の問題を専門に扱うアーネスト法律事務所の柳亜紀弁護士の元には「どうやったら消せるだろうか?」といった相談も相次いでいるという。

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 タレントのパックンは「僕の場合、“お台場で浮気中”というウソの写真がSNSに上がった。自分でも確かに似てるなと思ったが、奥さんは怒っていた。検索エンジンの進化によって、こういう問題はもっと深刻になっていくと思う。一般人であっても、肖像権の問題はこれから重要になっていく」、「Black Diamond -from 2000-」リーダー・あおちゃんぺは「中学生の時のキャンプの写真をアップしたら、友達の顔が“あおちゃんぺの中学時代”だといって拡散してしまい、迷惑をかけてしまった。あるいはブログに元カレの写真も載せていて、サービスが終了したから消えたはずだったが、ファンの方がツイッターに転載したので、今もネット上に残り続けている」と、有名人が抱えるモヤモヤを明かす。

■「高校時代の飲酒写真が会社にバレてしまえば、非常にまずいことになるのではないか」

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 山田さん(仮名・30歳)は、高校時代に友人と運営していたブログに喫煙や飲酒をしている写真をアップした。「当時はネットに情報が残り続けることに対する危機感がなくて、軽い気持ちでアップしたと思う。数年前に世間で“バカッター”が話題になった時、考えてみると、自分が投稿していたものも危ないのではないかという気持ちになった」。

 ところが管理者権限持っていた友人とは音信不通の状態。記事は今も閲覧できる状態だ。「勤め先は情報漏洩の防止のためにSNSを禁止している企業。フルネームは書いていないので、検索で引っかかることはないと思う。ただ、学校名などは書いているので、誰かが辿りつく可能性もゼロとは言えないと思う。もしこれらの記事が会社にバレてしまえば、非常にまずいことになるのではないか」。

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 前出の柳弁護士は「大きく分けると、サイトの管理者・運営者に削除を請求するパターンと、それがダメでも裁判所の手続きを通して仮処分という形をとるパターンがある。サイトの運営者が分からない場合でも、サーバーを提供している会社を調査し、通知を送ってもらうという方法があるので、山田さんの場合も、削除するための方法はまだ残されている。うちの場合は消せた場合だけ、という成功報酬型でやっている。サイトによっても異なるが、任意で削除に応じてくれるサイトの場合は、だいたい一件で5万円程度だ。一方で、リベンジポルノなど、第三者の権利を侵害するような投稿は消しやすいが、自分自身の“失敗”程度ではなかなか消せない。仮にSNSの投稿は消せたとしても、それが他の掲示板などに転載されるなどなどして拡散してしまった場合、全てを消すのは難しい」と話す。

■「高校時代に酒を飲んでいる写真が存在してもいいではないか、という社会に」

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「そもそも人類は文字を発明して、印刷を発明してと、記録することに多大なエネルギーを注いできた。それがネットの登場によって反転し、記録のためのコストはほぼゼロになり、ありとあらゆるものがアーカイブとして残せるようになった。その代わりに、消すのが難しくなった。他方で、投稿していたブログがサービス提供によって消えてしまう場合もある。極端な話をすれば、FacebookやTwitterだって、いつまでサービスが続くかはわからない。つまり、自分が与り知らないところで、自分に関するアーカイブが積み重なり、そしてそれがどうなるのかがよく分からないという時代になっている」と話す。

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 その上で、「ネット上に残された過去の言動を掘り起こしたり、不適切なことがあれば指摘して批判を浴びせたりする時代にもなっていて、変にアクションを起こすことでかえって目立ってしまうというケースもある。例えば女優のバーブラ・ストライサンドが自宅の写真がネットに上がっていることについて騒いだことで、ますますネット上に情報が増殖してしまったということがあった。山田さんの会社のレギュレーションが、過去の行為までも対象にするのかどうかはわからないが、番組に出て喋っているところを見た人が“あいつじゃないか”“写真を見つけた、もっとばら撒こう”ということをする可能性もある。また、過去の情報をどんどん消すのがいいのか、という問題もある。例えば交際相手と別れたからと、関係する写真をSNSから消す人は結構いる。でもその延長線上には、いつも“現在”しかないということになる。高校生の山田さんが酒を飲んでいる写真が存在してもいいではないか、そんなものを見つけて攻撃することの方が恥ずかしいだろ、という社会にしていく大事だと思う」と指摘した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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