笑ってはいけない場面で笑いが止まらなくなってしまう…幼少時から「失笑恐怖症」に悩む女性
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 看護師の日暮久美子さん(50)は、意思とは関係なく笑いが出てしまい、そのことに不安を感じる「失笑恐怖症」を抱えている。事情を知らない人からは“不謹慎”、“空気が読めない”と、白い目で見られることもある。

 「絶対に笑ってはいけない場面があるが、何か自分に“スイッチ”が入ってしまうと耐えられない。普通であれば時間が経てばスーッと引くはずだが、“笑っちゃいけない”と思えば思うほど、止められなくなる」。

・【映像】母のお通夜で笑ってしまう"失笑恐怖症"当事者の葛藤

笑ってはいけない場面で笑いが止まらなくなってしまう…幼少時から「失笑恐怖症」に悩む女性
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 日暮さんには5歳の時、祖母に厳しく叱られた記憶がある。「“そこに座りなさい"”って、すごい剣幕で怒られて、説教を受けた。でも、祖母が怒れば怒るほど笑っちゃって。エプロンで庭の木に縛りつけられちゃって。それでも笑っていた」。

 学校では真面目に振る舞ってきたが、高校生の時、実母の通夜で「自分には何か問題があるのではないか」と実感した。

 「悲しくて悲しくて泣いていたんだけれども、ある方がお悔やみごにょごにょ言うのがおかしく感じちゃって。耐えていたが、耐えれば耐えるほど気になっちゃって。そして、シーンとしてる場面なのに、ワーって笑っちゃった。やばい、この場面で笑っちゃった、ごまかさなきゃと、とっさに咳払いして、大泣きしちゃったフリをして玄関を飛び出した。近くの公園まで走って、ブランコに乗った。そして、“あー、おかしかった”と思いっきり笑った。同時に、“やっちゃった”って。お母さんのお通夜なのに、なんで笑っちゃったんだろうと、すごく悲しなった」。

 症状は今も変わらないが、認知度も低く、周りの理解を得るのは難しい。「仕事でも、“どうしたの?”“なんかおかしいの?”みたいに言われて。“いや…”とか言いながら…。“何だこの人”みたいな感じで見られた。今の職場は高齢者や子どもたちと一緒に笑うこともできる職場なので、笑うときは幸せを感じる」。

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 精神科医の山下悠毅・ライフサポートクリニック院長は「先端が怖いとか、高い所が怖いとか、色々な人がいらっしゃるが、医学的に恐怖症と呼ばれるものは、特定の状況で緊張がグッと高まってしまうものだ。緊張が高まると汗がすごく出たり、心臓がドキドキしたりするのと同じように、日暮さんの場合は笑ってしまうというものがパターンとして構築されてしまっている」と話す。

 「こういう症状や状態に困っている方がいることを知っていただくことは、すごく救いになると思う。当事者の方を理解するためにも、本当に面白いお笑いを見て笑っている時と、緊張が高まって笑っている時は別のモードだということを知って頂きたい。だから、“笑っていいんですよ”と言われるとすごく楽になる。また、こういう病態があるとなかなか知られていないので、笑うのは相手をバカにしているとか、下に見ているという意味ではないんだ、ということを事前に伝えておけば、初対面の方ともうまくいくと思う。そして、治そうとすることよりも、笑うことで大事な人との関係が崩れてしまう可能性をいかに減らすか、ということに注目した方がうまくいくと思う」。

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 山下医師の話を受け、日暮さんは「笑いたくて笑っているわけではない場面もあるということを理解していただければありがたいと思う。誤解されたとしても、私が思いを伝えられるような優しさがあるといいなと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:母のお通夜で笑ってしまう"失笑恐怖症"当事者の葛藤

母のお通夜で笑ってしまう"失笑恐怖症"当事者の葛藤
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