大相撲十一月場所の幕内優勝のゆくえは最後の最後までもつれ、小結照ノ富士との本割、優勝決定戦の“死闘”を乗り切った末、大関貴景勝が2年ぶり2度目の賜盃を抱いた。1差で追う照ノ富士は鬼気迫る相撲でいったんは相星に持ち込んだものの決定戦で力尽きた。
それでも場所前から「元の位置に戻る」と目標を公言していた元大関にとって、現大関に一矢報いて13勝としたことは大きい。大関から両膝のケガや病気で序二段まで陥落し、一時は引退も決意したというどん底から見事に這い上がり、今年七月場所は幕尻で自身5年ぶりとなる大復活優勝を遂げた。2場所ぶりの賜盃にはわずかに届かなかったが、大関→序二段→大関という空前絶後の返り咲きもいよいよ射程圏内に入ったと言っていいだろう。
史上3人目となる幕内→幕下以下→幕内を2回繰り返し、今場所が9場所ぶりの再入幕だった千代の国は10勝をマークして2度目の敢闘賞を受賞した。両肩の脱臼癖や右足踵の骨折、両膝のケガなど度重なる苦難を乗り越えてきた30歳の苦労人は新三役を目指している。
元幕内で2度にわたる右膝の手術を受け、序二段まで落ちながらほぼ3年ぶりに関取に復帰した宇良、三役経験者で一時は三段目まで番付を下げた常幸龍は十両の土俵で千秋楽にともに敗れ、優勝決定戦への進出は惜しくもならず9勝に終わったが復活を大いにアピールする今場所の相撲ぶりだった。また、元小結で十両の千代鳳も約2年ぶりに関取復帰を果たした今年一月場所からじわじわと番付を上げている。
今年は往年の幕内力士の復活が相次いだ。その背景には一昔前なら引退を余儀なくされていたであろう大ケガも医療とリハビリの発達により、復帰の見通しも以前と比べて立てやすくなったという事情もあるだろう。そして何より本人の強靭な精神力が大きな要因であるのは言うまでもない。
ケガによる大きな試練を乗り越えて再び輝きを取り戻す力士の姿にファンは賞賛の拍手を惜しまない。照ノ富士を筆頭に来年は彼ら「復活組」の逆襲がいよいよ本格化することだろう。今年以上の更なるドラマが待ち受けているかもしれない。
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上”西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・現役女子高生の「リアルすぎる日常」をのぞき見
・スポーツコンテンツに適したの“ライブ特化型広告”って何?