狙い通りのトップで首位浮上を決めた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」11月26日の第2試合は、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)がラス親の好機を活かした3連続のアガリで鮮やかに逆転勝利。エースとしての矜持を示し、悲願の初優勝を見据える渋谷ABEMASを見事に首位まで引き上げた。
この試合の対局者はU-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)、多井の並び。第1試合でトップを獲得した近藤が連投での出場となった。
試合前、チームメイトの渋谷ABEMAS・白鳥翔(連盟)から「やっちゃって。1位にならせて」とトップを取れば高確率でチーム順位がリーグ1位になることをほのめかされ、その気になっていたという多井。チーム一丸でつかんだ首位浮上の好機に、「僕を使ったということは『勝ってこい』ということ」と強烈な自負心を背負って対局に臨んだ。
偶然の要素が結果を大きく左右する麻雀という競技において、勝利の確率を最大限に高めることができるのが、多井が“最速最強”と呼ばれる所以だろう。東2局には自身のツモ番がない最終盤にリーチを敢行し、親番をキープしたい近藤からリーチ・一発・タンヤオ・平和・ドラの8000点を直撃。「こういう場所でトップを取るには、もぎ取りに行かなきゃいけない時もある」と勝負師としての一面を覗かせた。
最大の見せ場は、トップ目の二階堂から1万4400点差の2着目で迎えた南4局から始まった猛チャージだ。東2局以降、アガリも放銃もなく息を潜めていた多井だったが、この土壇場で2900点、3900点(+300点)と助走をつけるように二階堂に迫ると、南4局2本場では7巡目に絶好の両面待ちリーチ。高目のドラ四万を難なくツモり、リーチ・ツモ・南・赤・ドラ・裏の1万8000点(+600点)で一気に5万点台のトップ目まで突き抜けた。
大きな余裕ができた多井は、続く3本場で得意の「配牌オリ」を披露してゲームを締めくくった。試合後のインタビューでは、安全運転でフィニッシュしたオーラスについて「計算していたんですよ。このまま行けば首位だなと思っていました」と告白。条件をしっかりとクリアした「計算通り」の5万点超トップにニヤニヤが止まらない様子だった。
各選手が「チームのスコアを自分のスコアだと思って打つ」という作戦を取り入れている渋谷ABEMAS。ポイントに余裕ができたことで、多井は「ある程度リスクも追えるし、選択肢が広がった」といよいよ盤石の状態になったことをアピールした。解説を務めた土田浩翔(最高位戦)も「順当なところが伸びてきた。力通りですね」と太鼓判を押す渋谷ABEMASの快走に待ったをかけるチームは現れるのか。大本命の首位浮上は、レギュラーシーズンの趨勢を決する中盤戦に向けて大きなターニングポイントになりそうだ。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)5万1600点/+71.6
2着 EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)3万4100点/+14.1
3着 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)1万1400点/▲28.6
4着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)2900点/▲57.1
【11月26日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +278.9(32/90)
2位 赤坂ドリブンズ +269.8(30/90)
3位 EX風林火山 +228.5(32/90)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲29.1(30/90)
5位 KADOKAWAサクラナイツ ▲176.1(30/90)
6位 セガサミーフェニックス ▲179.9(32/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲180.1(32/90)
8位 TEAM雷電 ▲212.0(30/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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