トップを競るライバルKONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)が低い声で「ロン」と発声し、この瞬間にゲームセット。倒された手を見て、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)は固く口を結び、それから天井を一瞥すると、悔しさを露わにした。
プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」11月27日の第2試合で、ここまで8戦連続トップなし、4着に沈むこと5回と苦悩する萩原が、目前にあったトップを前原にさらわれた。今期初勝利を期待した多くのファンが、この逆転負けにため息を漏らし、また勝者の前原を称え、萩原の次戦には「次こそは」と大きな期待を寄せた。
序盤から、明らかに風が萩原へ向かって吹いていた。東2局、萩原は園田から白・ドラ3の1万2000点をアガる。直前には難しい選択もあり、それを見事成功させての嬉しい満貫。それも親番で、この上ない滑り出し。今期は試合序盤から劣勢を強いられることが多い萩原のこのリードに、視聴者も「くるか!」「ハギーこれはトップ取れるぞ」「ハギー必勝祈願!」「きたあああああああ」と色めき立った。
東3局には2着目で親のKADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)によるリーチ宣言牌を捕らえて、タンヤオ・ドラの2000点。ライバルのチャンス手を潰し、局を消化する。
南1局1本場は678の三色同順を目指して、大物手狙いの進行。結果は三色同順とはならず、リーチ・平和・赤で3900点のアガリとなったがこれでもトップを目指すうえで十分に効果的。というのも、これを放銃したのが2着目にいる内川で、下位3者が競り合いとなる、萩原にとって絶好の構図ができあがった。
しかし南3局、かつて“閻魔”の異名を取る前原が立ちふさがる。わずか4巡目でリーチをかけられ、あっという間に跳満をツモ、萩原は逆転されてしまう。なんとかマクリ返したいオーラスも、前原に早い平和が入り、先にアガられてしまい、無念の2着でゲーム終了となった。
目前で大魚を逃した萩原は、インタビューでは「ファンに悔しい思いをさせている、何より自分がもどかしい」と悔しい思いを吐露。「1回、2回トップを取ったくらいじゃ、ヘラヘラしてられる立場ではない」と厳しく今後の展開をにらみつつも、「まだ半分終わっていないので、この小さなプラスでもちゃんと積み上げて、必ず来年残り何試合かになったところで、上位で戦える状態を作りたい」と殊勝な言葉と共に前を向いた。
萩原は2018年、チーム創設時にドラフト1位指名で加入。リーグの顔として盛り上げ役を任され、過去2シーズンそして今期も、それに応える活動を続けている。マイナスがかさんでいる今も、リーグ選手30名中、最も多くの声援を受け、たとえ劣勢でも注目を集めるポジションは萩原にしかできないこと。この日もファンからは「ハギーが一番盛り上がる!」「次トップとってくれよ!」「背負い込むなよー、ハギー」と、次戦のトップを願い、また激戦をねぎらう声が続けて投稿されていた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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