相手の考えを逆手に取る、いわゆる「裏をかく」という戦術が取れるのも、ベテランの強みだ。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」11月30日の第2試合で、KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智（連盟）が今期3勝目を獲得した。
この試合の対局者はセガサミーフェニックス・魚谷侑未（連盟）、藤崎、EX風林火山・滝沢和典（連盟）、TEAM雷電・萩原聖人（連盟）の並びでスタート。
藤崎は東1局、滝沢へ8000点の放銃。さらに東2局にも滝沢に満貫をツモられ親被り。しかしこうなっても慌てず騒がず、チームに尽くす仕事に徹底するのが“忍者”の務め。藤崎は南場までじっくりと耐えて、チャンスを待った。
南1局1本場、藤崎は終盤にテンパイ、一発とハイテイのツモを狙って、リーチをかける。中ぶくれの7筒と8索のシャンポン待ち。結果はアガリに結びつかなかったが、打点妙味は十分ということ、また自身のリーチは周囲から高基準と判断され、十分なプレッシャーになることを加味しての攻め。このリーチに、解説の土田浩翔（最高位戦）は「恐ろしい男ですね」と評価を送った。
我慢が実るハイライトは南2局に訪れた。親番の藤崎はドラの三万を暗刻にして、一刻も早くテンパイしたいという構え。滝沢が仕掛け、魚谷もイーシャンテンというところで、なんと藤崎は4枚目のドラを入手。これをカンして、自らの手の内をライバルへ明かすという「忍ばない」作戦に出た。そして10巡目、待望のテンパイを果たすと即リーチ。
対局終了後に語られたこのリーチの意図は「アガれる手応えはなかった。リーチで局面が長引くようなことがあればもしかしたらツモれるかな」というもの。実際は長引くことなく、見事に一発ツモでリーチ・一発・ツモ・タンヤオ・ドラ4の2万4000点を獲得、あっという間にラスからトップへ躍り出た。すぐにツモれないとしても、この親のドラカンリーチにライバルほぼ何も押せないことから、狙い目はバッチリ、藤崎の戦術が決まった局となった。
4勝目が決まり、インタビューに訪れた藤崎は、序盤で一時はラスを受け入れる覚悟もあったと明かした。また、「ラスはラスでも結果はしょうがないので、チーム状況が少し余裕も出てきたところだし、（負けていてもあくまで上の順位を狙うという）戦う姿勢は見せて、次の試合の選手につなげられるようにと思っていました」と、チームへの献身的な姿勢あっての攻勢であると説明した。
この日の藤崎は、自分の雀風を知られているからこその、裏をかいた役あり高打点リーチや愚形リーチなど、ベテランらしい引き出しの多さでライバルを押しのけ、そしてファンを魅了した。インタビュー最後には「苦手な10月、11月を3桁プラスで終わることができた」と現状のポイントを喜び、ファンへは「図々しくて申し訳ないんですけど、もっと応援してください！」と決めポーズ。忠実な“忍者”がピンチを乗り越え、しっかりと仕事を果たした。
【第2試合結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智（連盟）3万8700点／＋58.7
2着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未（連盟） 2万3200点／＋3.2
3着 EX風林火山・滝沢和典（連盟）2万2200点／▲17.8
4着 TEAM雷電・萩原聖人（連盟）1万5900点／▲44.1
【11月30日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS ＋278.9（32/90）
2位 EX風林火山 ＋272.6（34/90）
3位 赤坂ドリブンズ +203.7（32/90）
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ＋151.7（34/90）
5位 U-NEXT Pirates ▲180.1（32/90）
6位 セガサミーフェニックス ▲238.3（34/90）
7位 KADOKAWAサクラナイツ ▲238.5（32/90）
8位 TEAM雷電 ▲250.0（34/90）
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
