路上でたたずむ「ウーバーイーツ」の配達員たち。何をしているのか聞いてみると、「“地蔵”状態ですね」「仕事が来ないので、とどまって待っていることを“地蔵”っていう風に配達員の中では言っている」という答えが返ってくる。

【映像】「ウーバー地蔵」による迷惑行為も

 注文を受けるまでじっと動かず、ひたすら待機している様子が地蔵に似ていることから「ウーバー地蔵」と呼ばれている。そのウーバー地蔵による迷惑行為が問題視されるようになっている。

 吸い殻をポイ捨てし、配達物を取りに向かう男性。立ち去った跡にはいくつもの吸い殻が捨てられていた。周辺では他にも、車道側に待機する何人もの配達員の姿が。

 マナー違反のウーバー地蔵が増えて、周辺の飲食店には客が入りづらくなっているところもある。ある飲食店の店員は「車道に座り込んじゃったりとか、周りからの見た目もよくない。座ってタバコを吸ったりとかを見ることもあり、商売の妨げになってしまうので改善してほしい」と話す。

 また、街の人は「お店の前とかで待っている方とかいっぱいいる。ちょっと怖いなというところはある」「やっぱりよくない。そもそも今喫煙が制限されている中で、飲食店の横でタバコを吸っているのもおかしな話だし」という反応だ。

 ウーバー地蔵と呼ばれるほど配達員が増えた背景には、新型コロナウイルスの影響が大きいという。お笑い芸人のクラッシャースミダは、コロナ禍で本業の収入が細る中、配達業を始めたという。「ライブとかで急に呼ばれたりもあるので、やっぱり融通の利く仕事が宅配系のウーバーになる」と話す。

 不規則な本業の合間に2つの配達業を掛け持ちしているというクラッシャースミダ。「どっちかが全然仕事がない時にこっちをやったりとか、こっちがない時はそっちをやったりとかできる」と話しカバンから取り出したのは、「出前館」の帽子。出前館の配達の際は、ウーバーイーツのカバンのロゴを隠しているという。

 一方で、あえてつらい雨の日を狙う配達員も。「雨が降っている時は逆に稼ぎ時なので。お客さんも外に出たくないので、注文が多くなる傾向にある」と話すのは、小学生と中学生の2人の子を持つ39歳の男性。経営していたイベント会社が新型コロナの影響で廃業に。3カ月前から配達員を始めた。

 話を聞いていると、スマホには早速注文がきたことを知らせる表示が。商品を受け取ってから配達先までの道のりをカメラも付いていく。冷たい雨が降る中、自転車をこぎ続けること20分。ようやく到着し、小走りで商品を届ける。

 気になる報酬は、「距離に応じての売り上げなので。例えば、今配達したのが2.64kmで492円。その前の配達は4km以上あったので600円台だった」とのこと。お昼時は注文が多く入るため、自身の昼食は我慢して配達しているという。3カ月で15kgも痩せたそうだ。

 しかし、当初よりは稼ぎにくくなっているという。「配達員が多くなりすぎたのが原因だと思う。やはりコロナで、“とりあえずウーバー(始める)”という人はすごく多いと思う」と男性。

 一方で、3人の家族を養うため休む間もない。「完全に休みっていうのは記憶にないくらい無い。連勤で考えたら10(連勤)以上はしている。やはり収入がなくなると生活ができない。子どもも小学生とかだし、何とか収入があるものをと。受け皿となってくれている感じなので、ウーバーには感謝はしている」。次の仕事が見つかるまでの一時的な収入源にするつもりだったという。

 様々な事情を抱え、多くの人が始めた配達業。一部のウーバー地蔵の迷惑行為に配達員はどう思っているのか。東新宿駅周辺で話を聴くと、手が空いている地蔵状態の時に他の人が捨てたゴミを2人の男性が拾っていた。

 「ウーバーイーツやっていて、いつもここにいるから掃除している。毎日朝8時から夜10時までここにいるけど、きれいなところで働くことができるから」(ウズベキスタン国籍の配達員)

 一方、以前から配達員を続けている男性からは「(一部の配達員の)マナーだとか身なりだとかが悪いだけで、前からやってきた人にとっては営業妨害。(ちゃんとやってきた配達員の)評判を落としたくない」という訴えも。

 悪質な地蔵行為についてUber Japanは、今後個別に注意喚起を行えるよう態勢を整えていると説明している。

 ウーバー配達員を取り巻く環境について、BuzzFeed Japan News副編集長の神庭亮介氏は「経済的に大変な状況の中で、ウーバーがひとつの働き口を担っている部分はあって、僕らも便利なサービスを利用することができる。VTRに出ていた芸人さんのように、隙間時間に働けるというメリットも大きい」と話す。

 一方で“副作用”があるとし、「一部だと思うが、路上でタバコを吸ったり、ゴミをポイ捨てしたりという人が出てきている。ただ、これを単に配達員個人のモラルの問題で終わらせてしまっては問題は改善しない。これだけ大きな企業で、配達員の人たちはみな看板を背負っているわけなので、ウーバーの社会的責任も考えないといけない」と指摘した。

 具体的には待機せざるを得ない状況への対処をあげ、「ウーバー地蔵をしている人には、地蔵にならざるを得ない事情がある。たとえば街中に待機場所を用意するとか、飲食店内で待機できるよう、ウーバーがお店側にお金を払うといったことができないか。また、事前に研修なり指導をして、禁止事項を周知することも大切だ。個人事業主なので面接や履歴書もなくすぐ働けるというのが売りなのかもしれないが、一定程度の人材の質の確保も事業者としての責任だと思う」とした。

 コロナ禍で、場所や時間、組織に縛られることなく単発・短期で働ける「ギグワーク」のニーズが高まっているという。一方で、神庭氏はそうした人たちへの保障が必要だといい、「急いで配達している時に事故にあっても労災保険の対象外。新しい働き方ということで“ギグエコノミー”“ギグワーカー”がもてはやされているが、どこかで見たことのある光景だなと。かつてはアルバイトをして稼ぐ、夢を追いかけてフリーターになるのが自由な働き方として奨励された。しばらくすると、残業もなく自分のペースで働けるとして派遣社員や契約社員が推奨されるようになった。だがその結果、非正規労働者が激増し、派遣切りや雇い止めが問題になっている。今はさらに底が抜けて、より不安定な立場にあるギグワーカーの人たちが増えつつある。モラルの問題は別途きちんと解決しないといけないが、ギグワーカーが労働者として保護される制度設計が必要だ」との見方を示した

(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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