逆境でも決して冷静さを失わない“天才”がいる限り、不死鳥の炎は消えない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」12月8日の第2試合は、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)が一度もリーチをかけずに冴え渡る「鳴き」で自身3勝目をゲット。和久津晶(連盟)のラスを帳消しにするトップで、下位に低迷する昨期準優勝チームに希望を持ち帰った。
この試合の対局者はU-NEXT Pirates・瑞原明奈(最高位戦)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智(連盟)、茅森、渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)の並びでスタート。第1試合を終えた時点でマイナス300ポイント台の最下位に沈むセガサミーフェニックスにとっては、セミファイナル進出に向けて中盤戦の正念場と言える一戦だ。
初戦で悔しい4着に終わった和久津に加えて、昨期MVPの魚谷侑未(連盟)、抜群の安定感を誇る近藤誠一(最高位戦)も個人スコアでマイナスと、シーズン序盤から苦しい戦いが続くセガサミーフェニックス。そんなチーム事情の中でも、チャンスや危険を察知する感覚の鋭さから“天才”と称される茅森はこの日も巧みな押し引きを見せる。東2局には積極的な役牌のポンで先手を取り、他家のチャンス手を潰す発・赤の2700点をツモアガリ。その一方で、東4局には自身もテンパイながら瑞原のアガリ牌である四万をピタリと止め、その四万を重ねてテンパイを取り切るというファインプレーも披露した。
僅差のトップ目で迎えた南2局、ふたたび役牌のポンから満貫をテンパイした茅森は、藤崎の親リーチを受けながらも猛然とプッシュ。最終的に中・赤・ドラ2の8000点(供託1000点)をトップを争う瑞原から直撃し、勝利を大きく手繰り寄せた。チームの苦境を救う茅森の活躍を、実況を務めた松嶋桃(協会)は「ヒロインって言葉よりもヒーローという言葉が似合うくらいカッコいい」と称賛。解説のEX風林火山・勝又健志(連盟)も「わかります」と共感のコメントを寄せた。
アガリ回数は2回、リーチも0回と決して牌に恵まれたとは言えない半荘だったものの、放銃0回の絶妙なバランス感覚と、今期から増やすように意識しているという「鳴き」を駆使して見事に勝利を掴んだ茅森。この日の第1試合で合計7回のリーチを放ち、腕力で勝利をもぎ取った“魔王”ことKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)とは対照的な繊細さが光る麻雀に、視聴者も「まさに天才」「茅森さん本当天才」「さすが天才」と感服していた。
茅森の3勝目でセガサミーフェニックスは最下位を脱出。仮に大きなラスを引けばマイナス400ポイントという危険水域に入ってしまう状況だっただけに、ファンからは「ことごとくピンチを救う」というコメントも寄せられた。試合後のインタビューで「ひとりくらいは勝っておかないと」と飄々と言ってのけた茅森が、チームメイトにもファンにも“ヒーロー”に見えているに違いない。
【第2試合結果】
1着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)3万7200点/+57.2
2着 U-NEXT Pirates・瑞原明奈(最高位戦)2万7600点/+7.6
3着 渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)2万6400点/▲13.6
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智(連盟)8800点/▲51.2
【12月8日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +364.2(38/90)
2位 渋谷ABEMAS +315.2(38/90)
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +195.0(38/90)
4位 赤坂ドリブンズ +71.9(38/90)
5位 U-NEXT Pirates ▲67.4(38/90)
6位 KADOKAWAサクラナイツ ▲288.7(38/90)
7位 セガサミーフェニックス ▲295.0(38/90)
8位 TEAM雷電 ▲295.2(38/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)