禁断の裏ドラ3枚が、大怪獣復活への呼び水となったか。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」12月10日の第2試合で、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大（連盟）が自身3勝目となるトップを獲得。今期序盤は苦しんだ大ベテランだが、持ち味のパワフルな麻雀を完全に取り戻したことを証明する快勝劇だった。
この試合の対局者はセガサミーフェニックス・魚谷侑未（連盟）、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎（連盟）、前原、赤坂ドリブンズ・園田賢（最高位戦）の並びでスタート。第1試合で今期最高スコアを叩き出した内川が余勢を駆っての連投となった。
ターニングポイントは序盤の東2局1本場に訪れた。東1局に幸先よくアガリを決めていた前原は、三万と7索のシャンポン待ちで即リーチを敢行する。決して絶好とは言えない待ちだったが、園田の手から浮いた三万をピンポイントで仕留めると、裏ドラ表示牌はまさかの二万。リーチ・赤・ドラ・裏ドラ3の1万2000点（＋300点、供託1000点）という強烈なアガリで試合の主導権を握った。
リーチのみの手でも満貫に化けてしまう裏ドラ3枚。その不条理さと強烈さゆえ、麻雀ファンの間では「うらさんきんし」というワードがネットミームとして定着している。そんな“禁断の裏3”をモノにして勢いに乗った前原は、親番の東3局にも十八番のカンチャンリーチからリーチ・ツモ・一盃口の6000点を加点。さらに1本場には、魚谷の三万待ちリーチが純カラであることを見切ったかのようにイーシャンテンから無筋の危険牌を連打。“総帥”や“ゴジラ”といった異名にふさわしいド迫力のプッシュに、視聴者も思わず「めちゃ怖い」「ノータイムで草」「見てて気持ちいいわ」と釘付けになった。
これを中・赤・ドラの6000点（＋300点、供託1000点）のアガリとして結実させると、“熱血実況”として知られる日吉辰哉（連盟）は「とんでもねえ！」と絶叫。幾度となく前原と激闘を繰り広げてきた解説の土田浩翔（最高位戦）も「帰ってきましたね。完全に帰ってきた」とつぶやき、コメント欄には「完全復活」「これが前原さんだ」「凄すぎやろ」「バケモンだ！」「なんだこの強さ」と歓喜や驚嘆の声が怒涛のように押し寄せた。
東場で大量リードを築いた前原は、その後は勝負に徹して鉄壁のガードを披露。放銃0回の危なげない試合運びで逃げ切り勝ちを収め、試合後のインタビューでは“ガラクタ”と称される愚形リーチを「私たちのあれは美しいリーチ」と自賛するなど口も滑らかだった。
11月13日の第1試合、箱下ラスを喫した前原は「悔しがる権利がない麻雀だった」と自らを厳しく戒めた。しかしそこから見事に心技体を立て直し、自身のマイナスポイントは33.6と完済まであとわずか。個人首位を独走する“魔王”こと佐々木寿人（連盟）だけでなく前原までエンジン全開となったことで、KONAMI麻雀格闘倶楽部が一気に頂点まで突き抜ける展開も現実味を帯びてきた。
【第2試合結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大（連盟）4万5100点／＋65.1
2着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎（連盟）2万3100点／＋3.1
3着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未（連盟）1万7900点／▲22.1
4着 赤坂ドリブンズ・園田賢（最高位戦）1万3900点／▲46.1
【12月10日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 ＋364.2（38/90）
2位 渋谷ABEMAS ＋315.2（38/90）
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +222.6（40/90）
4位 赤坂ドリブンズ ＋25.6（40/90）
5位 U-NEXT Pirates ▲67.4（38/90）
6位 KADOKAWAサクラナイツ ▲188.9（40/90）
7位 TEAM雷電 ▲295.2（38/90）
8位 セガサミーフェニックス ▲376.1（40/90）
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
