阪大・宮坂名誉教授「今の段階では打たない」 感染リスクとワクチンによる健康被害リスク、判断どうすべきか
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 ニューヨークの病院で14日、新型コロナワクチンの接種が始まり、メディアに公開された。緊急承認されたファイザーのワクチンは、第1段階として290万回分が米全土に発送されていて、医療従事者や介護施設入居者の接種を優先するという。

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 アメリカでは12月の一日あたりの新たな感染者が平均で20万人にのぼり、14日午後時点で累計の死者数は30万人を超えた。11月下旬の連休に多くの人が移動したり集まったりしたことが要因とみられ、クリスマス休暇でさらなる感染拡大が懸念されている。

 海外で続々と接種が始まっている、新型コロナワクチン。国内でも早期の接種開始に期待する声が高まっているが、「今の段階では私は打たない」と明言する専門家もいる。免疫学の第一人者として知られる、大阪大学の宮坂昌之名誉教授だ。

 「アメリカにとっては非常に大きなステップだと思う。アメリカはこのままでは感染を自分たちの力で止められない、自然の力で感染が広がっているのを止めることができない状態になっているので、ワクチンがないと今は難しい状態だと思う。そういう意味ではアメリカにとっては朗報だと思う」

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 宮坂名誉教授はアメリカでワクチンの接種が始まった意義は大きいとする一方で、副反応のリスクを判断するデータがまだ足りないと指摘する。

 「長期的なレベルにおけるリスクがまだ読めないので、私は今の段階では(ワクチンを)打つという決心はしない。大事なのは、感染リスクとワクチンによって起こる健康被害のリスク(を比べること)。感染リスクがずっと高ければワクチンを打つ必要性がある。イギリスやアメリカは恐らくそういう状況で、日本の50~100倍の死者が出ている。若干リスクがあったとしても、社会としては打たないと感染が止まらないという苦しい状況に入っていると思う。一方、日本は欧米の50分の1~100分の1の死者数で、感染者数も少ない。その中で、ワクチンの健康被害のリスクが読めない段階で天秤にはかるのはすごく難しい」

 リスクを正しく判断するためには、今後さらにデータが集まってきたうえで、それを分析することが重要だという。

 「大規模な接種が始まっているので、あと3カ月、4カ月すれば安全性のデータは出てくる。その時点で判断しても全然遅くない。実際それまでワクチンは日本に来ないので、そういう意味でも慌てることはない。(欧米の様子をみてリスクが低ければ)私は打つだろう。私は絶対に打たないと申し上げているわけではなくて、リスクを判断する十分なデータがない。そこで慌てて考える必要はない」

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 米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を作る遺伝子を解読し、人の細胞にスパイクたんぱく質を作らせるmRNA(設計図)を生成。mRNAを入れた脂質ナノ粒子を人の細胞に送り込むと、人の細胞がmRNAに従って新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を作り、免疫システムを刺激する仕組みだ。この仕組みで4つのワクチンを作り、安全性、有効性、免疫反応は十分かを調べる臨床試験を行った。

 研究開始から10カ月足らずの“ワープスピード”のワクチン開発。遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役社長の高橋祥子氏は「通常の抗体を作ってから人に入れるよりも速いスピードで開発できた。抗体となるたんぱく質を作ってから入れると、そのたんぱく質の検証にとても時間がかかるが、mRNAは今後新しいウイルスが出てきたとしてもウイルスの配列さえわかれば、配列に合わせて早く作れることが利点だ」と説明する。

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 では、一番懸念される安全性はどうなのか。「宮坂先生がおっしゃっていたようにまだわからない部分はあると思う。ただ、これまでの臨床試験で安全性や有効性について確認している状況で、実際にワクチンを摂取することで十分な予防効果があることは証明されている。一方で、mRNAを摂取した時に抗体ができることは証明されているが、できた抗体の量が適切かどうかや、抗体ができてもかえって病状を悪化させるような現象も他の疾患ではみられているので、そういう症状が出ないかどうかは今後もまだまだ検証が必要な部分。やはり、持病があったり高齢者であるなどハイリスクの方は、副作用のリスクよりもワクチンを打たないリスクの方が高いと思うので、そういう方々にとっては有効だと思う」とした。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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