麻雀界の未来を背負う若武者のたくましい成長ぶりに、レジェンド解説も目を細めた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」12月17日の第2試合で、渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)が自身4勝目となるトップを獲得。堂々たる対局内容はもちろんのこと、誠実な人柄がにじみ出たインタビューでの受け答えにも称賛の声が相次いでいる。
この試合の対局者は松本、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、EX風林火山・勝又健志(連盟)の並びでスタート。今期いまだトップのない萩原が初勝利を目指して東1局、東2局と連続アガリを決めるも、若手プロの代表格として活躍する松本がその悲願を打ち砕いた。
東2局1本場のリーチ・ツモ・赤の4000点(+300点)、東3局のリーチ・ドラ2の5200点で萩原の背後に迫ると、圧巻は南場の親番だった。南1局1本場はリーチの勝又、3副露の茅森の圧力に屈せず、仕掛けを入れたタンヤオ・赤・ドラ2の1万2000点(+300、供託2000点)をアガり切ってトップ目に浮上。好配牌を手にした同3本場には2着目の萩原からリーチ・平和・ドラ2・裏ドラの1万2000点(+900点)を直撃し、強烈な親満貫2発で3万点以上のリードを築いた。
また、中継では松本が「多井(隆晴)さんとタイトル戦の決勝で戦って勝つ夢を見た」というエピソードが紹介された。渋谷ABEMASの不動のエースとして活躍し、つい先日には国内最大級のプロ・アマ混合戦「麻雀最強戦」を制した多井は、松本にとって心強いチームメイトであり、同時に超えるべき目標でもある。この日の第1試合で多井が3着となり、チームは安全圏の「ボーダー」として設定していたという+200ポイントぴったりに。「僕に全部かかっているみたいなことを言われて。とんでもない回し方してきたな」と笑顔で振り返った松本だが、現・最強位がお膳立てした“おいしいシチュエーション”に気合が入ったに違いない。
萩原の猛追を振り切った松本は、これで今期4勝目。個人成績でも全30選手中5位と、全員がプラス域に位置する渋谷ABEMASの最大の得点源となっている。インタビューでは南1局3本場の親満貫について「幸運に恵まれただけですけど、その“ただの幸運”が僕ら30人には本当に嬉しいんです」と謙虚に語り、視聴者から「ええこと言う」「性格が良すぎる」「ガチで好青年」「若いのに人間性が素晴らしい」と人柄を称えるコメントが殺到した。
さらに「本当に選手全員が、負けているチームも『まだまだこれから』と思っていますし、勝っているチームも誰ひとり油断してないと思うので、必死にもがいていく姿を見てほしい。レギュラーシーズンあと半分、お付き合いください」とあらためてMリーグ全体をアピールした松本。20代とは思えない誠実な受け答えに、“レジェンド解説”としておなじみの土田浩翔(最高位戦)も「松本は大人になりましたね。立派になりました」とお墨付きを与えた。雀力も人間力も成長著しい松本の今後に、ますます大きな期待と注目が集まりそうだ。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)4万7800点/+67.8
2着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)4万2400点/+22.4
3着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)9800点/▲30.2
4着 EX風林火山・勝又健志(連盟)0点/▲60.0
【12月17日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +336.4(44/90)
2位 渋谷ABEMAS +267.8(44/90)
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +132.9(42/90)
4位 赤坂ドリブンズ ▲45.8(42/90)
5位 TEAM雷電 ▲77.4(44/90)
6位 U-NEXT Pirates ▲106.1(42/90)
7位 KADOKAWAサクラナイツ ▲182.5(42/90)
8位 セガサミーフェニックス ▲325.3(44/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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