3度のローブローを物ともせず終始優勢に試合を進めるも、試合後の判定でよもやの敗戦。驚いた様子を浮かべた本人はもちろん、ファンの間でも疑問の声が上がっている。
判定を聞いた和田の何ともやるせない表情が印象的だった……。12月18日に開催されたONE Championshipシンガポール大会「ONE: COLLISION COURSE」で、和田竜光とヨッカイカー・フェアテックス(タイ)が対戦。和田優勢の組み合いの中で“3度のローブロー”で試合を止めたヨッカイカーが2-1の判定で勝利を収めた。しかし、ラウンドを通して打撃と組みで優勢に試合をつくった和田のまさかの敗戦に、視聴者のみならず、ONE参戦中のファイターたちからも困惑の声が上がっている。
グラウンド勝負の和田と、ムエタイ出身ということもあり打撃で勝負したいヨッカイカーという構図の試合。1ラウンド、和田が序盤からタックルでヨッカイカーをケージに押し込み、バックに回り得意の“おたつロック”でバックをキープ。さらにヒジとパンチを振り下ろし優勢にラウンドを終えた。
2ラウンドも組みの攻防に持ち込む和田だが、ヨッカイカーの組んでからのムエタイ仕込みのヒジやヒザに苦戦。しかし、接近戦では逆にヒジを当ててみせる場面も。ラウンド中盤には、ヨッカイカーのインローが和田に対する金的となり、試合は中断。再開後も和田はテイクダウンをとるなど優勢に試合を進める。
3ラウンド、和田が押し込む場面でローを打つヨッカイカーが2度目のローブロー。和田優勢だった場面はブレイクで再開すると、和田が右を当てタックル狙った直後の組み合いでヨッカイカーが3度目のローブロー。試合中断時にはレフェリーから注意される場面も見られた。その後、和田がノーモーションで右を当てるなどしたが、決定打には至らず、両者決め手を欠いて試合は終了となった。
AMEMAでゲスト解説を務めた佐藤将光が「(和田選手が)とったと思います」とコメントするも、3ラウンドのトータルマストで決めるONEの判定により、2-1でヨッカイカーが勝利。その瞬間、当の本人も納得がいかない様子を浮かべた。納得がいかないのは本人だけではなく、視聴者からも「うそでしょ…」「これは酷い」「金的やったもん勝ちかよ」と不満の声が殺到。一方では「ローの数をとったか」「打撃かな」と打撃の印象を優先するジャッジ手法へ理解を示す冷静な意見もあった。
やはりポイントとなったのは2、3ラウンドで常に打ち続けたヨッカイカーのローキックだろう。解説者を務めた大沢ケンジも「(ローブローの)インターバルが長くて、1ラウンドにバックをとった印象が薄れた。2、3ラウンドの印象を取ったのかなと思いますね」とジャッジの結果を受けて見解を述べると、これまでONEで完全決着で連勝してきた佐藤が改めて「明確にとらないと勝てないんだなと思いますね」と私見を述べた。
この判定結果を巡ってはSNS上でONE参戦中の選手からも様々な意見が。上久保周哉が「これで負けちゃうの…? ONEで組技やる意味考えさせられる」と発言すれば、先日ONEで判定勝利を収めた箕輪ひろばも「ONEってこんな判定もあるのね ちょっと信じられない」、中原由貴「まじか。」、三浦彩佳「えええ、、なんで、、、、」、若松佑弥「えーーー」など、参戦中のファイターたちも一様に困惑した様子だった。
しかし、ONEの判定を最も知るファイターの一人である青木真也は至って冷静。「極めなきゃ勝てない。武道。」とフィニッシュの重要性を指摘し、決定打が無い試合では明確な差を見せないと常に負ける可能性があると、和田優勢は認めつつも自身のスタンスでこの試合について分析した。