待ちに待ったシーズン初勝利が、最後の最後に手からこぼれ落ちていった。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」12月22日の第1試合、TEAM雷電・萩原聖人（連盟）はトップ目でオーラスを迎えるも、渋谷ABEMAS・日向藍子（最高位戦）の劇的な跳満ツモで2着に転落。ファンも本人も「今度こそ」の思いで臨んだ対局だったが、またしても初勝利はお預けとなった。
終局まで残り6巡。残酷な結末が萩原を待ち受けていた。前巡にリーチをかけた日向が「ツモ」と発声すると、開かれた手は逆転条件を満たすリーチ・一発・ツモ・一盃口・ドラ3の1万2000点（供託1000点）。口を真一文字に結んで腕を組む萩原の姿からは、言葉にならない悔しさがにじんでいた。
萩原にとっては、序盤の苦しい展開を跳ね返して手繰り寄せた絶好機だった。東1局はセガサミーフェニックス・魚谷侑未（連盟）に8000点、東2局には日向に1000点と連続放銃の立ち上がり。視聴者コメント欄には「今日もトップは遠いのか」と早くも諦めムードが漂ったが、萩原はここから初勝利への執念を見せる。
東3局2本場にリーチ・ツモ・平和・赤の5200点（＋600点）をアガりラス目から抜け出すと、南1局にはリーチ・一発・一盃口・裏ドラの8000点をKONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大（連盟）から直撃してトップ目の魚谷を猛追。さらに好配牌を手にした南3局1本場には、3巡目リーチからのリーチ・一発・ツモ・平和・裏ドラの8000点でついに魚谷を逆転してトップ目に。ファンからも「これはくるぞ！」「きたあああああ」「今日はハギーの日だ！」と初勝利を期待するコメントが殺到した。
今期14戦目にして訪れた初勝利の最大のチャンス。オーラスの南4局、流局時にノーテンで牌を伏せればトップのため、萩原はやや引き気味に手を進める。しかし跳満ツモでトップとなる3着目の日向がドラを3枚重ね、12巡目に六・九万待ちでリーチ。さらに日向からの直撃を狙うラス目の前原も七対子の5索単騎待ちで追っかけリーチを敢行し、2軒リーチに囲まれた萩原は思わず苦悶の表情で天を仰いだ。
萩原にとっての悪い予感は、直後に現実のものとなる。日向が山に1枚だけ残ったアガリ牌の九万を一発でツモり、大逆転のトップを獲得。見事なアガリを決めた日向を称えるコメントが数多く寄せられる一方で、「ほんと不運」「これは可哀想」「ついてないなあ」「気の毒すぎる」と残り6巡で逆転を喫した萩原に同情するファンも続出していた。
細かいミスや放銃が目立った序盤戦から一転、ここ数試合は粘り強く安定した麻雀を披露している萩原。しかしあと一歩のところで勝利に届かないもどかしい展開が続いており、これで今期は開幕から14試合トップなし。萩原が2着に敗れた12月22日の第1試合で全チームがレギュラーシーズンの90戦中45戦を終え、後半戦に突入したMリーグ。真剣勝負の非情さも、ファンの叱咤激励もすべて受け止めて、茨の道を歩む俳優兼プロ雀士の戦いはまだまだ続いていく。
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
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