開幕から苦しみを味わい続けたスターが、クリスマスイブの夜にようやく長いトンネルの出口にたどり着いた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」12月24日の第2試合で、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)が今期15試合目にして念願の初勝利を挙げた。
この試合の対局者はU-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)、萩原、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)。各チームにとっての今年のラストゲームは、期せずしてドラフト1位の4選手による対決となった。
つい2日前に、跳満の親被りで初勝利がすり抜けていったオーラス。この対局も南4局0本場では決着がつかず、園田の満貫ツモで逆転されるという条件が残った1本場に突入する。悪夢が脳裏をよぎる中、必死に守備を固めて耐える萩原。3着目の小林のアガリでトップが確定した瞬間も、その顔は強張ったままだった。喜びの笑顔もなければ、安堵もない。ただ一度だけ小さく頷き、勝利の味を噛み締めているようにも見えた。
東1局、萩原はダマテンの園田の当たり牌の3索をピタリと止めるファインプレーを披露。解説の渋川難波(協会)も「これはすごい!」と感嘆した好守備でリズムをつかむと、東3局1本場のリーチ・一発・平和・赤2・ドラ・裏ドラの1万2000点(+300点)で試合の主導権を握った。
南2局の親番では今期絶好調の“魔王”佐々木から平和・赤・ドラ3の1万2000点を直撃。直後の1本場ではその佐々木に8000点(+300点)の放銃となるも、萩原はなお攻めの姿勢を崩さない。南3局には、染め手風の仕掛けで攻める親の園田に負けじとカンチャン待ちリーチを敢行。親倍満を放銃するリスクもあった場面で見事にリーチ・ツモ・赤の5200点をアガり、トップ目のまま試合はオーラスへ。流局を挟んだ南4局1本場にトップが決まると、視聴者コメント欄は祝福と歓喜の声で埋め尽くされた。
萩原にとって、今シーズンは序盤から苦難の連続だった。開幕直後はミスも重なってラスが続き、個人成績は最下位が定位置に。その後は少しずつ調子を取り戻すも、直近の試合では不運な親被りや土壇場での逆転などもあり、あと一歩でトップを逃し続けてきた。敗戦後のインタビューで「力をください!」とファンに呼びかけ、「ありとあらゆるゲン担ぎをした」というほど勝利を渇望した開幕からの3カ月。これまで「おんぶされたり、抱っこされたり……」と負担をかけたチームメイトの瀬戸熊直樹(連盟)、黒沢咲(連盟)が連続で箱ラスとなり、TEAM雷電が苦境に陥った状況で、ついにその願いを結果に結びつけた。
くしくも名前に「聖」の字が入る萩原が、聖夜に行われた2020年のラストゲームでつかんだ初勝利。俳優業との両立の中でも、「決して麻雀の努力をサボったことはありません」と開幕初年度からMリーグにかける情熱はまったく変わらない。インタビューでは繰り返しファンへの感謝を伝え、「すべてのMリーグファンにメリークリスマス!」とメッセージを贈った萩原。締めにはおなじみの“RMO”こと「雷電の麻雀は面白いんです!」というフレーズを披露し、カメラに迫って会心のポーズを決めてみせた。あらゆる苦しみを乗り越えて手にしたトップをきっかけに、来年はさらに「面白い」麻雀を見せてくれるに違いない。
【第2試合結果】
1着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)3万9300点/+59.3
2着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)3万500点/+10.5
3着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)2万3300点/▲16.7
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)6900点/▲53.1
【12月24日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +376.8(46/90)
2位 渋谷ABEMAS +337.9(46/90)
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +69.3(48/90)
4位 赤坂ドリブンズ ▲84.7(48/90)
5位 KADOKAWAサクラナイツ ▲96.3(46/90)
6位 TEAM雷電 ▲146.5(48/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲194.6(48/90)
8位 セガサミーフェニックス ▲261.9(46/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
この記事の画像一覧







