賭け麻雀に桜前夜祭問題…問われる検察の在り方、メディアや政治との間にあるべき距離感は
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 桜を見る会の前夜祭で、後援会側が費用を補填していた問題。安倍前総理は25日、国会でこれまでの答弁で事実と異なることがあったと訂正し、陳謝した。この件では、安倍前総理大臣の公設秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、即日罰金100万円を納付した。

【映像】“桜問題”安倍前総理が国会で謝罪

 22日に発表されたTwitterトレンド大賞では、「#検察庁法改正案に反対します」が2位にランクイン。5月、東京高検・黒川弘務元検事長が知人の新聞記者らと賭け麻雀をしていた問題が発覚。検察官の定年を延長できるとする政府の検察庁法改正の動きの中で注目された人物だった。その後、検察庁法改正案は廃案になり、黒川氏も検事長を辞職。賭け麻雀ではその後不起訴処分となっていたが、検察審査会が24日、「起訴相当」とする議決を公表した。

 検察の在り方が問われたこの1年、検察改革はどこまで進んだのか。

■安倍前総理の不起訴にひろゆき氏が持論

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 そもそも、安倍前総理が嫌疑不十分で不起訴となった東京地検特捜部の判断について、弁護士で法律事務所ZeLo所属、「法務・検察行政刷新会議」の最年少メンバーでもある徐東輝氏は「俯瞰的・総合的な観点から判断したと思う。ただ、告発者がいる事件で、まもなく検察審査会、これも申し立てられて来年ぐらいには議決が出るのではないかと思う。これで全ての件が終わって解決というわけではない」と話す。

 国会で立憲民主党の黒岩宇洋議員は「(秘書が)差額を補填しウソをついた。この該当者は業務上横領罪で当然告訴するんでしょう?」と追及。安倍前総理は「(各種)請求は事務所にいき、在任中は口座から下ろしたお金を中心に、共用金として置いているものから振り込んでいる。今まで間違いはなかったが、秘書は責任を痛感して辞職。訴える気はない」と答えた。

 この点について2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「安倍前総理の預金を勝手に流用していたというのは事実として認めているわけだ。安倍前総理が訴えなくても、市民が告発のような形で秘書の人を訴える、刑事的に逮捕するというのは可能なのか」と疑問を呈する。

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 徐氏は「十分ありえるとは思うが、本当に着手してくれるかどうかはわからない。本当にこれが事実なのであれば(秘書は)極悪人だと思う。税金も含めて国益に損害・損失を相当及ぼしている」とした上で、「法的責任は、次に検察審査会等で議論されて続きがあると思う。政治的責任という意味では、来年総選挙がある。彼を党首として選んだ自民党を含めて政治的責任が追及できる機会があると思うと、国民の方々も司法だけを追い続けるのだけではなく、政治的責任をどう取ってもらうのかを考えるべきではないか」との見方を示した。

■法務・検察行政刷新会議で議論された「検察官の倫理」

 検察の信頼回復のために設置されたのが法務・検察行政刷新会議だ。7月から9回の会議を経て24日、法務大臣に報告書を提出した。徐氏はこの会議に若手代表のオブザーバーとして参加した。

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 議題は、賭け麻雀問題を受けた「検察官の倫理」、検察庁法改正案などを受けた「法務行政の透明化」、ゴーン事件を受けた「刑事手続きについて国際的な理解が得られるようにするための方策」。特に検察官の倫理は大きなテーマで、メディアと検察、あるいは政治と検察の関係を見ていくことになっていた。

 議論された内容について徐氏は「検察審査会が審議しているということもあり、司法の判断を待たずに(黒川氏を)起訴すべきだったんじゃないかという話をできるような場ではなかった。どちらかというと、なぜあのような立場の方がメディアと関係を持って、定期的に賭け麻雀なる違法行為をやり続けていたのか。それをどうにか再発防止できないかという議論には焦点を当てていた」と説明する。

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 そんな中、ひろゆき氏は「世間的にやりすぎたガス抜きとして会議を作って、レポートをあげるが政治や行政には反映しないというパターンもある。現場から見て、お飾り的なのか本当に実行力があるレポートになったのか」と質問。

 徐氏は「お飾りの部分は50%ぐらいあったと思う。法務大臣等の意向があって選ばれた委員たちもいて、『本当に刷新しないといけない』と考えた委員たちと、『現状の制度が正しい』という委員も含めたガチガチの議論が半年間行われていた。議事録を見ると、とんでもない議論が行われていたりもする。それをしっかり報告書に反映した上で、例えば法律改正については3年後の刑訴法見直しがあるのだからそこで議論しなさいとか、かなり具体的なところに踏み込んだ提言もできている箇所はある。個人的にはある程度の成果はあったと思っている」との考えを示した。

■検察とメディア、検察と政治…あるべき距離感は

 検察とメディアの関係について、テレビ朝日平石直之アナウンサーは「取材する側からすれば、できるだけ深い関係になって食い込んで話を聞きたい、情報を取りたいという思う」とメディア側の立場から述べるが、会議ではどうあるべきだという話になったのか。

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 徐氏によると、メディアと検察官、あるいはメディアと捜査機関との距離が一つ大きな議論になったという。「裁判の中では一当事者に過ぎない人間側の情報がメディアにばかり流れて、基本は推定無罪になっているはずの被告人たちの情報が全然流れない。逮捕された後、勾留された後にどんどん検察側からの情報が流れて、弁護人からの意見は一部報道でしか流れてこない。そうなると、世論で“この人は有罪だ”という形が作られていく。その下で行われる裁判に公平性があるのかという話がある。他方、憲法で認められているような報道の自由もあるので、捜査機関とメディアの関係はすごくセンシティブ。今回、結論としては意見の一致を見ず、検察とマスコミの関係に何か具体的な提言をすべきだとはならなかったが、委員の中には、マスコミとの関係を規律して、具体的なガイドラインや行動規範のようなものを置くべきだという指摘された人もいた」と説明する。

 一方、ひろゆき氏は「裁判官は裁判になったものを無罪、有罪と判断できるが、検察官が起訴しなければ裁判にならない。誰かが人を殺したとしても、検察官が起訴しなければ、捕まっても釈放されて裁判にならずに終わる。検察審査会自体も検察庁の人がコントロールしていて、起訴相当になりそうになったら時間を延ばしてメンバーを切り替えて、起訴相当になりそうになったらまた切り替えてということを現実にやっている。検察の権限が強すぎる気がする」と指摘する。

 徐氏は「検察はかなり絶大な権限を持っている。しかもそれは組織としてではなく1人の検察官が持っていて、属人性の官庁と言われる。検察官が暴走しうることは十分にあり得る話だ」と同意。一方で、強い権限があるからこそ政治とも対峙できる表裏一体の関係にあるとし、「そういった意味で、少しずつ改革が進んでいって、重大な事件については検察官の取り調べを録音・録画するというように一歩ずつ前進してはいる。カルロス・ゴーン被告人の海外逃亡を受けた、国際的な刑事手続のあり方の話もした。『ミランダ・ルール』といわれる、取り調べに弁護人が立ち会ってよいという海外では当たり前のように認められていることを、日本でもやるべきではないかということが話し合われている。日米地位協定も、米国軍人が何か犯罪をした時に我々は引き渡さないといけないが、向こうからすると『ミランダ・ルールが日本にはないのだから公平な裁判を受けられるわけがない』と。ここは少なくとも国際的な反論ができにくくなっている論点ではある。今回、具体的に3年後の見直しで必ず扱いなさいという提言ができたので、進んでくれることを期待している」と述べた。

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 その上で、検察が人事と文書管理の面で改善していく必要性も訴えた。

 「人事と文書管理についてもかなり具体的に議論された。検察庁法改正案の時、国家公務員に認められている勤務延長が、なぜ法解釈を変えて検察庁にも適用できるのか、なぜ口頭決済できるのかという話があった。ここは、口頭決済はダメだという話をちゃんとして、重大な法解釈を変更する場合は必ず的確に文書を作りなさい、文書を保管しなさいというところを一致した提言を出せた。人事については、そもそも政治に近い人がなぜ検事のトップになれるのかというと、黒川さんのみならず今の制度上当たり前のこと。法務省と検察庁という2つの組織が交流しあい、検察庁のトップになるには法務省でも昇格していかないといけない。法務省で昇格するということは、法務大臣の元で政治に距離が近づいていくことになる。そこで検察に戻ると、今度は法務省側あるいは政府と対峙していかなくてはならない。その中で当たり前のように政府と関係が深い方々がトップになっていくということは、属人的な話ではなく第2、第3があり得る話なので、ここは見直すべきではないかと具体的に指摘できたのは大きいと思う」

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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