目標として掲げたMVPが、いよいよ現実味を帯びてきた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」1月7日の第1試合で、渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)が6勝目をゲット。4日の第2試合に続く連勝でチームを首位に浮上させ、個人成績でもKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)をかわして全30選手中の1位に躍り出た。
この試合の対局者はセガサミーフェニックス・和久津晶(連盟)、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)、松本、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)の並びでスタート。今期なかなか調子の上がらない3選手を相手に、松本は勢いの違いを見せつけるかのように終始優位に試合を進めていく。
東1局1本場に朝倉から手堅いダマテンで平和・赤2・ドラの8000点(+300点、供託1000点)を直撃し、リードを築いた松本。その後はなかなか勝負手が入らないと見るや、安全牌を抱えて早々に店じまい。数々のタイトルを獲得してきた“レジェンド解説”の土田浩翔(最高位戦)は、その見切りの良さを「メリハリが効いてますね」と称えた。
しかし押すべき局面では、どこまでも深く踏み込むのが松本が標榜する「ベストバランス麻雀」の真骨頂だ。沢崎にトップ目を譲って迎えた親番の南3局1本場、ドラの3索単騎待ちでリーチをかけたラス目の和久津に対し、松本は「ソウズの愚形待ちもある」と冷静に読みを働かせて強気の押し返しを見せる。無筋の七万をまっすぐに打ち抜いてドラを重ね、終盤に4・7索待ちの追っかけリーチを敢行。山に1枚だけ残った7索を和久津から直撃し、リーチ・タンヤオ・平和・ドラ2・裏ドラの1万8000点(+600点、供託2000点)という決定的なアガリをものにした。
チームとしても個人としても首位に浮上するという大仕事をやってのけた松本は、試合後のインタビューで「このメンバーの中で1位というのが最大の喜びです」と満足げな笑顔を浮かべた。過去2シーズンの苦しみを糧に成長を遂げた28歳の大躍進に、解説の土田も「若い人は波に乗ると止められないですね」と感嘆。勝利を重ねても決しておごることのない謙虚な受け答えも好感度抜群で、ファンからは「松本つええ」「好青年すぎだろ」「Mリーグの主役」「MVP!MVP!」「今後も含めて楽しみすぎる」といった称賛のコメントが殺到した。
藤田晋監督に「トップを取ったらもう1回行ってこい」と背中を押されて連投した第2試合も、南4局開始時点でトップまで3万4500点差のラス目という状況から、怒涛のラス親連荘で一時トップ目に立った松本。最後はセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)の再逆転に屈するも、僅差の2着に食い込み1日で100ポイント以上のプラスを叩き出す大活躍を見せた。男性選手最年少ながら、今期MVPにもっとも近い存在となった松本。麻雀界の未来を背負って立つ男の快進撃は、まだまだ止まりそうもない。
【第1試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)5万5000点/+75.0
2着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)3万1900点/+11.9
3着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)1万3300点/▲26.7
4着 セガサミーフェニックス・和久津晶(連盟)-200点/▲60.2
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)