これが“魔王”の恐ろしさ、見る者を興奮のるつぼに巻き込むアガリだ。待ちはわずかに1種類、しかも自分で2枚使っている。それでも最後までアガリを諦めず、淡々とその牌がこぼれるのを待っていた。
プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」1月8日、佐々木は第1試合で一度もアガれず箱ラス。挽回を期した第2試合でも、オーラスを迎えて4着目。長年のライバルEX風林火山・滝沢和典(連盟)との“タキヒサ”対決に話題が集まったこの日、第1試合直後には「見せ場がなかった」とインタビューで暗い表情を見せていた。
第2試合も東2局に3900をアガったが、その後が続かずオーラスを迎えて4着目。得意の染め手を目指し、索子をかき集める佐々木と、逃げ切りたいトップ目赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)、一方では親の連荘を目指す滝沢と、逆転のリーチをかけたい萩原がぶつかった。
滝沢が仕掛けてタンヤオのテンパイ、鈴木も中を暗刻にしてテンパイ。佐々木は中ぶくれの8索待ちでメンチンのテンパイを果たす。この8索が手に残ってしまったのが萩原。たっぷり45秒の長考の末、打ち出された8索に佐々木はロンをかけ、メンチン・一気通貫・一盃口で1万6000点のアガリを決め、ラスから2着へ浮上しゲームを締めた。
萩原がテンパイした瞬間、解説の渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)は「これヤバい!もう見れない!怖い!」と絶叫し、この中継を視聴していたファンからも「やばいw」「こんなの無理!」「ハギィィィ!」「変な声でちゃうよお」とコメントが大渋滞となった。そして決着の瞬間、実況の小林未沙は「“魔王”の鉄槌!!美しすぎるアガリ手が決まりました!」と興奮してこの模様を伝えていた。
第1試合からアガリが遠く、苦しんでいた佐々木だったが、最後の最後でダマテンでの倍満という大立ち回りをしてファンも熱狂。4着から2着になったというスコア以上に、ライバルや見る者にその底知れぬ実力を見せつけ、驚愕させた。チームメイトの前原雄大(連盟)は試合直後に「ひさちゃんやた!」とTwitterへ投稿、この短さにベテランの興奮が集約されており、またそれに対するリプライでも「最後の最後に涙が出ました」「終わり良ければ全てよし!」というようにこの試合の興奮冷めやらぬファンからの声が投稿されていた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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