振り袖姿にマスク着用、距離をとって座るなど、“コロナ禍の成人式”が全国各地で開催され始めている。しかし、感染が急拡大する首都圏では、緊急事態宣言が発出されることを受け、成人式の式典を中止する自治体が相次いでいる。

相次ぐ「成人式」中止…非公式の“飲み会”懸念に若新雄純氏「あえて式をやって飲み会自粛お願いもアリでは?」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(5枚)

 一生に一度の晴れ舞台。成人式の中止が決まった新成人からは「ただただ悲しい気持ちで(中止の)知らせを見たときに心に穴が開いたような気分になりました」「一生に一回の機会だし振り袖を着るのをすごく楽しみにしていたので、それがあっけなくなくなった感じはすごく残念です」などの声が寄せられた。

【映像】会場に人がぎっしり…去年の成人式の様子(7分ごろ~)

 “ディズニー成人式”で有名な千葉県浦安市は、今月11日に予定していた式典を3月7日に延期すると発表。さいたま市は、およそ1万3000人の新成人を対象とした式典をさいたまスーパーアリーナで予定していたが「オンライン開催」に変更する。

 式典の準備に取り組んできたさいたま市新成人代表の丹健三郎さん(20歳)は「ニュースを見ている時点で何となく覚悟はしていたので、まぁ仕方ないなと思いました」と話す。覚悟はしていたというものの、本番直前でのオンライン開催への変更。新成人の思いを背負い、複雑な思いを抱く中、SNSで厳しい世間の反応を目にしてしまったという。

相次ぐ「成人式」中止…非公式の“飲み会”懸念に若新雄純氏「あえて式をやって飲み会自粛お願いもアリでは?」
拡大する

「成人式がオンラインになってしまったことをSNSで投稿して残念がっている人がいて、それに対して『逆にこの環境でできると思ってたんですか』というコメントが来ていた。そういうのが自分の中でショックだった。そういうことを言う人は新成人ではない人だと思います。自分が新成人で晴れ舞台を目の前にして、こういう判断をせざるを得なくなったというのに、そういう心無い一言を平気で言えるような人がSNSにはたくさんいて、そういうことに少しでも気を遣ってくれる人が増えたらいいなと思っています」(さいたま市 新成人代表・丹 健三郎さん)

 思い描いていた成人式とはならない新成人が多くいる中、ある“粋”な対応が注目を集めている。

相次ぐ「成人式」中止…非公式の“飲み会”懸念に若新雄純氏「あえて式をやって飲み会自粛お願いもアリでは?」
拡大する

「あなたのハタチに、『また来年ね』なんてないから。」

 新成人に向けこんなメッセージを送ったのは、振袖のレンタル・販売を手がける「京都きもの友禅」。行政の判断で成人式が中止となった人とオンライン開催になった人を対象に振袖の購入者には商品券を進呈するという。また、レンタルの利用者には、その振袖一式をそのままプレゼントという何とも太っ腹な対応だ。

相次ぐ「成人式」中止…非公式の“飲み会”懸念に若新雄純氏「あえて式をやって飲み会自粛お願いもアリでは?」
拡大する

 成人式が延期となった利用者についてはレンタル期間を延長するなど、今回の対応にはモノや金額だけではない、新成人に対する思いが込められていた。

「あなたの地域の成人式がどのような形式になったとしても、どうか、ハタチをお祝いする気持ちは、縮小させたりしないでください。むしろ、先行きが見えないこの時代に、大人としての一歩を踏み出す皆さんへ、今まで以上のエールを。今年だからこそ、大きな『おめでとう』を。送りたいと思う私たちです。」(京都きもの友禅ホームページより)

 京都きもの友禅の対応に、利用者からは「数年かけて準備してきた成人式が中止になって凄く悲しいけど、少しは報われる…。きもの友禅さんでレンタルして良かった」など、感謝の気持ちが寄せられている。

相次ぐ「成人式」中止…非公式の“飲み会”懸念に若新雄純氏「あえて式をやって飲み会自粛お願いもアリでは?」
拡大する

 このニュースに慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「人が密集する場所がどんな状態であれ、(感染の)リスクはないわけじゃない」とした上で「これまでのいろいろな調査などで、一番リスクが高いのは飲み食いしているときだと言われている。ちゃんとマスクをしていればかなり感染拡大が抑えられる研究結果もあって、『マスクをしていれば絶対大丈夫』というわけではないが、一番の問題は人が集まって飲食すること。成人の日に合わせて地元に帰ったり、お休みを取ったりしている人も多いだろう。成人式は中学校単位で、地元が好きな人同士で集まることが多い。昼間の式を中止することで『せめて夜だけは集まってご飯に行こう』と、非公式に集まろうとすることも多いのでは。強制力がなく、緊急事態宣言が出ても20時までは飲みに行ってもいいということならば、15時や16時くらいから飲み会をしてしまう人たちもいるだろう」と懸念を示す。

 マスクをしたままご飯を食べたり、お酒を飲んだりすることは不可能だ。非公式での飲み会があちこちで開かれれば、集団感染のリスクも高まる。若新氏は、新成人たちが飲み会をやらなくても満足できるような、新しい“思い出作りの場”を用意するのもありではないかと話す。

「自治体は昼間の成人式はちゃんとやって、立食パーティーはなしで、写真撮影などの思い出を残す場は用意するから『その代わり飲み会は絶対やらないでね』というお願いをするのはどうか。もちろん友達と話したい気持ちもあるだろうが、みんな晴れ舞台の思い出を写真に残したい、SNSに写真をアップしたい気持ちが強いはず。立食パーティーをしなくなった分の予算でカメラマンを雇って、撮った写真は暗証番号を発行してクラウドでダウンロードできるようにするなど、昼間を充実させれば『夜は飲み会をやらないで自粛しようね』というムードを作りやすいのでは。中止にするのは確かに無難だが、若者が納得して行動を自粛してくれるような形をちゃんと模索するのも一つではないか」(若新雄純氏)

 賛否両論ある成人式の開催。東京都では一週間における感染者平均が初めて1000人を超えるなど、収束のめどは立っていない。また、ニュース番組「ABEMAヒルズ」視聴者のコメントアンケートでは「今年の成人式はどうするべき?」に、中止が54%、延期が27%、開催が19%という結果だった。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【映像】成人式中止の裏で“飲み会”懸念「あえて式をやって」
【映像】成人式中止の裏で“飲み会”懸念「あえて式をやって」
この記事の画像一覧

■Pick Up
キー局全落ち!“下剋上”西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
現役女子高生の「リアルすぎる日常」をのぞき見

この記事の写真をみる(5枚)