5年ぶりの再入幕となった35歳の明瀬山が初日から勝ちっぱなしと元気いっぱいだ。引き締まったとは言い難い183キロの“アンコ型”だが、巨体に似合わず器用さが随所で光っている。五日目の豊昇龍戦も右を差して下から密着して攻めようとする相手との間にうまく隙間を作って左のかいなをスルリとねじ込むとすかさず差し手を返し、大きなお腹を突き出しながら寄り切った。自分の形になるまで決して攻め急がない老獪な相撲ぶりもベテランならではだ。
まるで着ぐるみを身にまとったような独特の風貌は“ゆるキャラ”そのもの。インタビューなどで見せる笑顔は何とも愛くるしい。普段は年下からもツッコミが入るほどの人懐っこいキャラは周囲から愛され、相撲ファンの間でも密かな人気者だ。相撲好きで知られる能町みね子さんからは体の肌質がパン生地に似ていることから「パンの山」と命名された。また、土俵上で制限時間いっぱいのときに受け取るタオルで両手をこねるように拭く仕草があらいぐまを連想させることから、ネット上では「ラスカル」とも呼ばれている。
コメントも見事なまでの“脱力系”だ。先場所、新入幕以来となる久々の幕内返り咲きを確実にすると「新入幕のときは(4勝止まりで)ボコボコにされて嫌な思い出しかない」とうれしいはずが“後ろ向き”発言。好きな食べ物は「おかんが作ってくれた煮物」と言うだけあって、後援者が食事に誘うにもお店選びに苦心することだろう。
コロナ禍で外出自粛が言われるが“ステイホーム”はお手のもの。自他ともに認める“アニメオタク”だけあって一日中、DVD三昧の日も珍しくない。一番のお気に入りである『美味しんぼ』は全巻コンプリートし、すでに4、5周は見ているはずだがいまだに見飽きないという。
首都圏に緊急事態宣言が発出されるなど、閉塞感が大きく世間を覆う中、究極の“癒し系”力士の快進撃は見ている側をほっこりさせてくれる。
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