元衆議院議員の金子恵美氏が、一連のコロナ対応を巡って方向性が定まらない政府の言動に「意思決定できなければ、政治家の存在意義はなくなる」と苦言を呈した。
先週、「昼食、ランチはみんなで一緒に食べてもリスクが低いということではない」とする西村経済再生担当大臣の発言に、大手外食チェーンであるサイゼリヤの堀埜一成代表取締役社長が「ふざけんなよ」と怒りを露にしたことが波紋を呼んだ。
会見で堀埜社長は「大事なのはマスクしろ。そっちだと思っているので、みんなと食事してはいけないなんて本当はないはず」とする考えを示すと、東京都の協力金6万円の支給対象が中小企業・個人事業主などに限定され、大手飲食チェーンには支払われないことを指摘したうえで「恐ろしいのは大手が潰れること。中小だけじゃなくて大手にも(補償を)広げてほしい。そうじゃないとシャレにならないことが起こる」とも話し、飲食業界を狙い撃ちした格好となった二度目の緊急事態宣言による“最悪のケース”を示唆した。
大手居酒屋チェーン店のモンテローザでは都内の2割弱にあたる61店舗の閉店を決定。午後8時以降が稼ぎ時の居酒屋にとって営業は困難だとして、賃料などの固定費を浮かせ、アルバイトを含むおよそ2万人の雇用を維持するための苦渋の決断だとしている。
経済評論家の佐藤治彦氏は「外食産業で働いている方は大体440万人。日本で働いている人の7~8%。とくに大手は(業務を)マニュアル化していて、それほど大きな技術がなくても働ける。失業対策の最後のセーフティーネットになっている」と指摘する。飲食業界の崩壊は業界の働き手やその家族などを含めておよそ800万人とも1000万人ともいわれているのが実態だ。
一連の話について、元衆議院議員の金子恵美氏は「大手の方が体力がまずある。中小企業は体力がないというところで、政治行政は中小企業支援を手厚くしている現状はある。本来であれば観光や飲食などの非製造業は裾野が広く、パートなどは女性が多い。女性の貧困も深刻になっている。航空や電機など社会インフラ産業ではないので、正直(飲食業は)軽視されていると思っている。中小企業支援で大手は対象外だが、中小企業でも地域や事業規模で差はある。にもかかわらず一律というのは、経営が成り立たないというのが本音だろう」と経営者の憤りに賛同。
さらに、元埼玉県警捜査一課刑事の佐々木成三氏が、過去、捜査一課長の運転手をしていた時に聞いて印象に残っている話として「判断は誰でもできるが、決断をするのが一課長だ」とするエピソードを紹介しつつ「やるならやる、やらないならやらないという決断は本当に難しい」など政府の対応に一定の理解を示すと、この話に「決断ができない、意思決定ができないのであれば、政治家の存在意義はなくなってしまう」と語気を強めたのは金子氏だ。
金子氏は「GoogleやAIで判断して決めていたら、選挙で選ばれた政治家の意味はなくなってしまう。5割であろうが、7割であろうが、世論が反対しても、こういう考えで、ここに出口をもって、こうしたいとする強いメッセージを出し、国民の皆様を正解に導く。あるいは、パニック状態を落ち着かせるのが政治家の仕事ではないか」と持論を展開する一方、「歓楽街や飲食を介した感染拡大が原因で、その結果として家庭内や院内のクラスターが証明されていないのであれば、本当の感染対策の解を見つけるべき。飲食業だけが目の敵にされるのではなく、本当の意味での解を政府がしっかり示して、そこで国民に納得してもらう。我慢してもらうところは我慢してもらうというようにメッセージを出すことが悪いシナリオからの脱出になる」と続けた。
18日になり、小池知事は飲食店への時短要請に応じている地域に関し「約9割の地域で協力いただいている」としたうえで、さらなる人流を抑えこむために「時短要請に応じる店舗、大企業にも協力金の支給を検討する」と発言。支援金は1日6万円で検討していることを明らかにした。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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