この週末にANNが行った世論調査で、菅内閣の支持率がまた下落したことがわかった。
去年9月の政権発足直後は62.3%あった菅内閣の支持率。最新のANN世論調査(1月16日・17日、電話調査、対象:全国18歳以上の男女1842人、有効回答:1063人)によると、菅内閣を「支持する」は34.8%で、前回12月の調査から3.6ポイント下落した。逆に「支持しない」と答えたのは42.5%で、前回から2.9ポイント上昇した。
また、新型コロナウイルスをめぐる政府の対応については、「評価する」が22%(前回調査25%)、「評価しない」が65%(同57%)となった。
菅総理に対しては、会見で下を向いて原稿を読み上げる姿などから“発信力の低さ”を指摘する声もある。臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は、「故郷の秋田県など一部では、菅総理の朴訥な話し方や独特のイントネーションなどを評価する声があるものの、総理という発信力が高い立場である限りは、工夫して効果的なコミュニケーションを取るべきでは」とし、菅総理のメッセージ力に足りないものとして3点を指摘した。
(1)非言語的メッセージが足りない(“目からビーム”は根拠がある)
「“メラビアンの法則”が有名だが、人が話す時に影響を与える要素が100%あるとした時、話の内容というのは7%にしか過ぎず、見た目や仕草などの視覚情報が55%、声の大きさや話す速さなどの聴覚情報が38%と大きな影響力を持つ。菅総理の今の喋り方だと、人に伝える意思があったとしてもなかなか伝わるように現れてこない。特に視線で、どの映像を見ても菅総理と目が合っている感じがしない。近年、心理学の分野で“目からビーム”ともいうべきか、目線が心理学的に影響を与える(視線に物理的な力を感じる)ということがデータを裏付けにして明らかになってきている。カメラを通して国民に訴えかけるような目線を向けてほしいと思う。また、身振り手振りや言葉の抑揚もあるといい」
(2)心を動かす“黄金話法”(共感→事実と見通し→具体策、が足りない)
「心を動かそうと思った時、確かにこういう状況があると共感して、しかしこういう事実あるいは見通しがある、そして具体的に何か、これをやりましょうという、ある種の三段論法が足りていないと思う。ドイツのメルケル首相など、演説が上手いとされる人の話を見るとこういう話し方になっていて、話の内容を変えなくても、話の順番や言葉のチョイスで黄金話法にすることはできるだろう」
(3)行動を変える“コラボオファー”が足りない
「菅総理は『国民の皆さまにお願いしたい』という“お願い”がやたら多いと思う。確かにこれまでは国民に響いて行動変容に結びついてきた部分もあると思うが、繰り返されれば、お願いはどちらかというと自分が一歩引いて下手に出て、目上の人にお願いするような感じにも捉えられてしまう。その期間が長く続けば続くほど、受け手としては『お願いされているなら判断するのはこっちでいいよね』という姿勢になりやすい。この危機的状況では、『一緒にやりましょう。自分もこれをやります』『皆さん苦しい時ですけれども、これをやりましょう』という風に、いわば“コラボオファー”を出してもらった方が響く可能性が高い。これは使い分けでもあると思うが、あまりにもお願いが多くてみんな飽き飽きしている部分もあると思うので、ここも一つの見直しポイントだと思う」
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