昨日から始まった通常国会。施政方針演説で菅総理大臣は「今一度、国民の皆さまのご協力をいただきながら、私自身もこの戦いの最前線に立ち、都道府県知事をはじめ自治体関係者とも連携しながら、難局を乗り越えていく決意である」と訴えた。
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しかし同日夜のABEMA『ABEMA Prime』に出演した元経産官僚の宇佐美典也氏は「クラスター対策をベースにしつつ、追えなくなってきたら緊急事態宣言によって皆で自粛し、感染拡大を抑え込もう、というのが基本的な日本の戦略だったと思うし、去年の6月19日には厚労省と医師会が“大体このラインまで来たら緊急事態宣言を出しましょう、その前提で医療提供体制を整備しましょう、と合意していた。ところがその後、専門家会議は分科会に切り替えられ、“無戦略”が始まった。しかも政府は一方的に事前の合意を破り、東京都に対する緊急事態宣言が出たのは今年に入ってからだ。その状態で“医療体制を拡充してください、でも国民の自粛はなしだ”と。それで医療側が応じるわけがない」と批判。
さらに「厚労省の人の説明によれば、なぜ患者の受け入れが少ないかといえば、中小病院が多いからだ。厚労省は大病院を作ろうとしてきたが、自民党の族議員が抵抗して集約化できなかったと。耳鼻科、眼科、皮膚科の医師は余っているという話もあるので、コロナ対応をしてもらえるように集中的に教育するプログラムを実施し、働く場所を作ることもできると思うが、誰も提案しない」とした。
内科医で司法試験合格者でもある米村滋人・東大大学院法学政治学研究科教授は「本来、国が全体の戦略を決めて、そこに向かって具体的な対策を立てていくべきだと思う。感染症対策というのは、決まった一つのやり方があるわけではなくて、ウイルスの性質や蔓延の程度によっても異なるし、新型コロナウイルスみたいなものは完全に封じ込めることが難しい。どれくらい先に収束を目指すかをしっかり見極めた上で、強い措置と弱い措置をいかに組み合わせてやっていくのか。あるいはどの感染層をターゲットにして抑え込んでいくのかを考えなければならない。最初の数カ月はそれができなくても仕方ないが、半年、1年と経っているのに戦略なしでやっていくのは無理がある」と指摘。
医療提供体制については「感染者数を抑えるのと同時に医療提供体制が逼迫している状況を改善することが重要だ。世界一の病床数がありながら、なぜ欧米の100分の1程度の感染者数で逼迫するのか、よく私も尋ねられる。最も大きな要因は、医療機関の8割近くが民間で、そのうちコロナの患者を受け入れているのが2割程度に留まっているからだ。民間は中小零細が多く、十分な設備も専門医もいないので、どうしても受け入れが難しい。ただ、そうは言ってもこれだけの危機的状況だから、ある程度の協力はしてもらえるようにしなければならない。例えば一定の患者さんを受け入れてもらうとか、逼迫していないところから地域割りなどで医療従事者を派遣してもらうといったこともできるのではないか。外科系の先生は難しいかもしれないが、すべての診療科の中で最も多く、開業医でも標榜していることの多い内科医であれば大丈夫だと思うし、それができれば随分違うんじゃないか」と話していた。
国民民主党の山尾志桜里衆議院議員は「民間の医療機関がコロナ患者を受け入れれば受け入れるほど他の患者を診られなくなり、赤字も増えていくという状況があるが、そこを政治がどうサポートすれば解消できるのか、我々野党も含め議論が足りなかったと思っている。国会の中でも遅ればせながら医療体制の基盤作りが大きな議論になってきている。民間で“コロナ対応を頑張りたい”というところにはお金を渡しているが、これは損した分には使えないため、一般の患者さんが減ったことに対する補填には使えない。どこがコロナ対応できる医療機関なのかを把握しているのは自治体で、政府は把握しきれていない。だから入院調整もうまくできない。そこを解決すること。また、責めるわけではないが、民間への要請は都道府県知事が行うことになっているが、実際に法的な根拠を持った要請を行った知事は一人もいない。そういうことも要因の一つなので、罰則を設ける前に政治ができることをまず早く見つけ出し、実現することが大切だと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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