「肩透かし」「勇み足」「序の口」日常会話で頻繁に出てくる相撲用語たち
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 新入幕の翠富士が十一日目、德勝龍に得意の「肩透かし」を決めて4日ぶりの白星を挙げた。今場所6勝目となったがそのうち肩透かしは3番もあり、いまや翠富士の代名詞となりつつある。また、この日の結びの一番は2度の物言いの末、隠岐の海に「勇み足」があったため、大関正代が優勝戦線のトップに並ぶ2敗を辛くも守った。

【動画】翠富士の「肩透かし」

 ところで決まり手の「肩透かし」や勝負結果の「勇み足」は相撲用語のみならず、我々が普段使う日常会話にも時々、登場する。勇んでくる相手の勢いを逸らすことを「肩透かしを食わせる」などと言ったり、熱心のあまり、言動の度が過ぎて失敗してしまったときに「今回は私の勇み足でした」といったように使われる。決まり手で言えば「うっちゃり」も同様のケースだろう。「最後の最後でうっちゃりを食わされた」などと形成を逆転されたときに当てはまる言葉だ。このように相撲用語が一般用語としても使われるケースは少なくない。

 「序ノ口」なんかもその一つ。その道にまだ入りたての人に向かって「そんなのはまだ序の口だよ」と言ったりもする。両者相譲らない状況を「がっぷり四つ」と表現することもあるし、物事が一時中断することを「水入り」「水が入る」などとも言う。あらゆる分野でランキングを表すときには「横綱」や「番付」といった言葉もよく用いられる。

 スポーツ選手や芸能人を厚く後援する人たちを「タニマチ」というが、この言葉ももとは相撲界から来ている。大阪の谷町に住む医者が無類の相撲好きだったことから、力士からは治療費を受け取らなかったという説が語源となっている。

 意外なところでは水死体のことを俗に「土左衛門(どざえもん)」と言うが、もともとは江戸時代の成瀬川土左衛門という力士に由来している。色白の太った体にふっくらとした顔をした風体が、水を多く吸って膨れ上がった溺死者のたとえに使われるようになったという。もっとも当人にとってはあまりいい気はしないだろう。

 これほどまでに相撲用語が日常語に浸透しているのは長い歴史と伝統を誇る相撲が日本人にとって昔から身近な存在だったからであろう。今後も新たに一般語として使われる相撲用語が出てくるかもしれない。

翠富士の得意技
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立ち合い変化の注文相撲
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逆転負けの大栄翔
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