「本当にやりたくないよね。“商品”を捨ててるんだからね…」「はぁ…それにしても良い色してんな。頭にくる」。
 長野市で70年以上続く「中村農園」の3代目、中村太士さん(38)は、2.7ヘクタールの土地で栽培し、収穫を目前に控えたリンゴが全滅した。2019年10月の台風19号による豪雨で千曲川が増水、堤防が決壊したのが原因だ。
 被災して間もなく、中村さんがノートに綴った言葉がある。「アップルライン復興」そして「生き残れるのか?」だ。「アップルラインが元の活気ある通りに戻ってほしい。必ず俺は元に戻せると思う。言い方悪いけど…災害なんかで無くなってしまうというのは本当に悔しくて」。