第1試合での7位転落と、トラブルによる長い中断。「いつも通り」の麻雀を打つことが難しい状況でも“ゼウスの選択”がブレることはなかった。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」1月26日の第2試合で、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)が今期5勝目を獲得。6位がボーダーラインとなるセミファイナル進出争いは、4位から7位までの4チームが34.3ポイントの間にひしめき合う大接戦に突入した。
この試合の対局者はTEAM雷電・萩原聖人(連盟)、U-NEXT Pirates・小林剛(麻雀連合)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、鈴木の並びでスタート。第1試合終了後、映像システムのトラブルにより約1時間の中断を挟むという異例の状況下で行われた。
第1試合で村上淳(最高位戦)が善戦及ばずラスを引かされ、一時的にボーダーラインを下回る7位まで沈んでしまった赤坂ドリブンズ。さらに対局の開始が遅れるというトラブルに見舞われながらも、チーム内に悲観的なムードはまったくなかったようだ。待ち時間には、新型コロナウイルス感染から無事復帰した丸山奏子(最高位戦)を含む4選手に越山剛監督(最高位戦)も交えて、控え室で和気あいあいとゲームに興じる様子を同チームのYouTubeチャンネルで配信。同時接続が1万2000人を突破するなど大盛況を博し、鈴木はいつも以上にリラックスした様子で対局に臨んだ。
いざ対局がスタートすると、鈴木は序盤から持ち前の形勢判断の巧みさを存分に発揮。東2局には小林の親リーチを力強く押し返し、タンヤオ・赤・ドラの3900点(+供託1000点)でリズム良く最初のアガリを決める。2着目で迎えた南1局は萩原とのリーチ対決となるも、山に6枚という待ちの強さを活かしてリーチ・平和・ドラの3900点(+供託1000点)を直撃。小林を交わしてトップ目に浮上した。
続く南2局も萩原とのリーチ対決に競り勝ち、リーチ・ツモ・赤・ドラの8000点(+供託1000点)でリードを広げた鈴木。オーラスには小林による逆転手のリーチに「怖かったです。ヒヤッとしましたよ」と肝を冷やす場面もあったものの、チームの苦境による重圧や中断による影響を感じさせることもなく、老獪ささえにじむ手堅い麻雀で日付変更近くまで及んだ対局を制した。
村上のラスを帳消しにする鈴木のトップで、赤坂ドリブンズは僅差ながらも4位までジャンプアップ。7位のセガサミーフェニックスまでの差はわずかに34.3ポイントと、セミファイナルに向けてボーダー争いがいっそう熾烈さを増す中、鈴木は「まだ気にしないですね。変に意識しちゃう方が、普段やっていることと違うことをやっちゃうことになる」と平常心を強調した。終盤戦を迎えて各チーム・選手の思惑が複雑に入り乱れる状況だからこそ、「いつも通り」の麻雀を貫くことができる鈴木の存在は、復権を目指す初代王者にとって大きなアドバンテージになりそうだ。
【第1試合結果】
1着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)3万9700点/+59.7
2着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻雀連合)3万4400点/+14.4
3着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)2万6300点/▲13.7
4着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)-400点/▲60.4
【1月26日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +597.6(64/90)
2位 EX風林火山 +250.2(64/90)
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +17.9(64/90)
4位 赤坂ドリブンズ ▲104.9(64/90)
5位 KADOKAWAサクラナイツ ▲109.5(64/90)
6位 TEAM雷電 ▲109.6(64/90)
7位 セガサミーフェニックス ▲139.2(64/90)
8位 U-NEXT Pirates ▲402.5(64/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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