世界に拡大する新型コロナの“中国ワクチン” 供給遅延で五輪ピンチなら日本に“ワクチン外交”も?
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 世界で広まりつつある、新型コロナウイルスのワクチン接種。現在日本では、アメリカのファイザー社とモデルナ社、イギリスからはアストラゼネカ社の合計3社から3億1400万回分(1億5700万人分)を契約済みだ。

【映像】「有効率50%」“中国ワクチン”が拡大中

 25日、全国に必要なワクチンの確保時期は「6月を目指す」と話した菅総理。しかし、欧米ではワクチンの供給に遅延が生じており、それが日本にも影響を及ぼすのではないかと見られている。

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 ニュース番組「ABEMAヒルズ」に出演したコメンテーターで、「ニューズウィーク」日本版編集長の長岡義博氏は「欧米と比べて感染者数が少ない日本でワクチンの供給が遅れていることは理解できる」とコメント。その上で「ただし、日本は夏にオリンピック開催を予定しており、間に合わなければ危機的状況」だと語る。

「欧米ですら遅れている状況を見ると、(日本のワクチン接種は)6月より後ろにずれ込む確率が高いのではないか。そうなると、東京オリンピックがかなり影響を受ける」(以下、長岡義博氏)

 そんな中、長岡氏は“中国ワクチン”の拡大に注目。中国のワクチンは、摂氏2度から8度での運搬が可能で、マイナス70度での保管が必要なファイザー社製のワクチンと比べると運搬のハードルが低い。インフラが整っていない途上国にとっては、運搬が簡単な中国のワクチンは魅力的だ。今後、中国はワクチンを武器に中東や東南アジアで“ワクチン外交”を展開していくと見られている。

 ブラジルの治験で有効率は50%だった中国ワクチン。元毎日新聞記者で中国人民大学に留学経験もある長岡氏はこう述べる。

「5Gでファーウェイが市場を占有したり、TikTokが広まったり、中国では技術や科学が大きく進歩している。(ワクチンは)中国の技術力向上の一環だ。中国ワクチンも『有効率50%なら打たなくていい』と思う人もいれば、『有効率50%でも打ちたい』と思う人もいる。運搬面もマイナス70度で運ぶ必要がなく、発展途上国にとっては使いやすい。実際、中国は自分たちの作ったワクチンを使って、“ワクチン外交”を始めようとしている」

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 長岡氏によると中国の“ワクチン外交”で特に顕著なのはトルコだという。

「トルコには亡命ウイグル人がいる。トルコ人とウイグル人は同じ民族で、トルコは中国から亡命してきたウイグル人をかばっている。中国はずっとトルコに対して『亡命ウイグル人を返せ』と要求し、トルコはこれを拒否している。最近、中国は予定していたトルコへのワクチン輸出をやめた。中国はワクチンと亡命ウイグル人返還をバーターにしている疑いがある」

「五輪を控えた7月の時点で日本が困っていたら、中国が『ワクチン外交』を日本に展開しないとも限らない。厚生労働省の認可のハードルが高いので、簡単にはいかないと思うが、国民感情として『中国ワクチンでも必要だ』となれば、認可される可能性もある」

 近いうち日本にやってくる日があるかもしれない“中国ワクチン”。混乱はまだ続きそうだ

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【映像】運搬面でも魅力? 中国ワクチン拡大中
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