試合後のコメントは謙虚でも、「親番1回あれば、それで十分だ」という言葉が聞こえてきそうな、一気呵成の逆転トップだ。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月1日の第2試合で、渋谷ABEMAS・多井隆晴（RMU）が今期5勝目を獲得。チームはポイントを＋636.3と伸ばし、リーグ記録を更新した。
この試合の対局者はU-NEXT Pirates・石橋伸洋（最高位戦）、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）、多井、KONAMI麻雀格闘俱楽部・佐々木寿人（連盟）の並びでスタート。前半戦はセミファイナルへのボーダー争いを繰り広げる、石橋と堀の先行で進んだ。多井は持ち前の守備力を駆使し、大きな失点をせずに中盤戦へ。南1局1本場、多井は佐々木から満貫をアガると、試合後に「あれでラスが遠くなったので、自由にやれるようになった」と語ったように、上位を目指す攻めの姿勢に、ギアを入れ替えた。
南3局2本場、東・赤・ドラの5800点（＋600点、供託1000点）を佐々木からアガると、南3局3本場には難しい待ち取りを見事正解し満貫ツモ、これで多井はトップ目に立つ。そして南3局4本場、リーチ・ツモ・赤・ドラ2・裏ドラで1万8000点（＋1200点）を獲得して断トツに。これで多井は5勝目を挙げ、チーム成績は前人未踏の＋600オーバーとなった。
インタビューではこの試合を「紙一重です」とまず短く謙虚に答え、「ホンイツで満貫をアガって、少しラス（の可能性）がなくなったのでその後は自由にできました」と勝因を語った。トップへの契機を感じた局としては、南3局3本場の満貫を挙げ、「リャンメン待ちの六・九万にすると、場に見えていない九万は誰かに2枚持たれていそうで。だから、賭けました、（シャンポン待ちの）七万に」と当時の思考を語った。九万は実際に佐々木の手に2枚あり、読みがズバリ決まっていたことに視聴者も「化け物かよ」「あの選択は流石の読み」「たかはるやっぱ山読みスゲー」と驚嘆した。
セミファイナル進出はほぼ確定となったチーム成績だが、「うちの監督と白鳥翔はまだまだ足りないと。もっと積んでくれと指示が来たので、頑張りました。キリがないです、欲深いですね。800以上積んでほしいのかな」と多井は語り、また「この先はいろんな選手がチーム事情で打ってきますが、そういう麻雀は得意なので、このままのペースで打っていきたいと思います」と、好調をファンへアピールした。
なかなかアガれない展開が続いても決して悲観的にはならず、チャンスが訪れたラス親1回だけで全てをひっくり返す集中力と勝負強さは、まさに現役随一の実力だ。多井はこれで7試合連続連対、連対率もリーグ1位の70.59％と他を圧倒。安定してポイントを積み重ねるその姿に他チームのファンとみられる視聴者からは「終盤にたかはる連投はズルいだろ！｣と、悲鳴にも似たコメントが投稿されていた。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴（RMU）5万8200点／＋78.2
2着 U-NEXT Pirates・石橋伸洋（最高位戦）3万4200点／＋14.2
3着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）2万7500点／▲12.5
4着 KONAMI麻雀格闘俱楽部・佐々木寿人（連盟）▲1万9900点／▲79.9
【2月1日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS ＋636.3（68/90）
2位 EX風林火山 ＋171.3（66/90）
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲3.7（68/90）
4位 TEAM雷電 ▲31.8（66/90）
5位 KADOKAWAサクラナイツ ▲41.8（68/90）
6位 セガサミーフェニックス ▲212.8（66/90）
7位 赤坂ドリブンズ ▲214.9（66/90）
8位 U-NEXT Pirates ▲302.6（68/90）
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
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