ミャンマーで1日に起きた軍事政権のクーデターにより、民主化のリーダーであり国民民主連盟(NLD)の指導者でもあるアウン・サン・スー・チー氏が身柄を拘束された。その後、大規模なデモが頻発するなど、ミャンマーは混迷の度合いを深めている。
そんなミャンマーにおいて、“文字どおり”身体を張って現地の貧しい子どもたちのために奮闘する一人の日本人男性がいる。それは世界一過激な格闘技と称されるミャンマーの国技「ミャンマー・ラウェイ」に挑み続ける渡慶次(とけし)幸平さん。ミャンマー・ラウェイはタイの国技「ムエタイ」の原型ともいわれており、バンテージを巻いただけの拳で殴り合い、頭突きもOKという過激なスタイルの格闘技だ。
1997年にミャンマーで起きた軍事クーデターを取材したテレビ朝日のクルーが唯一、取材を許されたのが、ミャンマー・ラウェイだった。そして当時、取材に応じたトレーナーのウィンさんは「昔の戦争で、兵士が武器を使えなくなったらこの素手の格闘技で戦いました。だから素手には勇気の印が込められているのです」とこの競技に対する思いを語っている。
渡慶次さんはラウェイの印象について「めちゃめちゃ痛い。めちゃめちゃ怖かった」などと率直な思いを明かすと「昔はよく遺書を書いていたんですよ。毎試合毎試合、家族に。今日で死ぬなと思ってやってました」とも口にした。
渡慶次さんは2018年、本場ミャンマーで行われた国際大会「KBZグランドファイナル」で見事優勝を果たした。そんな渡慶次さんは、ミャンマー・ラウェイで稼いだ賞金の全額をミャンマーに寄付している。学校に通えない農村部の子どもたちのために、鉄筋コンクリートの学校を造る活動に取り組むためだ。
「田舎に行ったら電気もガスもない。掘っ立て小屋みたいなところを学校と呼んで、みんなで集まって勉強したり、生まれた土地が違うだけで、子どもたちが将来に向かっていくうえで選択肢が狭まるということはあってはいけないことだと思う」
そのように理由を語った渡慶次さんは続けて「活躍すればするほど、たくさんの子どもたちが幸せになる可能性が出てくる。それはやりがいですね」と優しい笑顔をのぞかせた。
ラウェイ戦士の雄姿を追ったドキュメンタリー映画「迷子になった拳」が来月26日に公開される予定だったが、その矢先に今回の軍事クーデターが起こった。渡慶次さんの活動はもとより、子どもたちの未来への影響がいま、懸念される。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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