荒波を乗り越えて、ついに“キング”が帰ってきた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月16日の第1試合で、U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)が昨年11月17日以来、およそ3カ月ぶりとなる今期2勝目を獲得。最下位のチームを救う値千金のトップで、セミファイナルシリーズ進出争いを大混戦に持ち込んだ。
この試合の対局者は起家からKADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、石橋、渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)の並びでスタート。昨期はセミファイナル以降の大活躍でU-NEXT Pirates優勝の立役者となった石橋だが、今期はここまでわずか1勝。個人成績でも30人中28位と苦戦が続いていた。
石橋の不調に引きずられるように、ディフェンディングチャンピオンのU-NEXT Piratesは最下位に低迷。なかなか結果が出ない中でも、アグレッシブな姿勢と多彩な戦術で常にアガリを模索する石橋は、この日も自身の麻雀を貫いていく。東1局には日向と茅森の2軒リーチを受けながらも、得意の仕掛けで逆襲。対戦相手の勝負手をさらりとかわすタンヤオ・ドラの2000点(+供託2000点)で好発進を決めた。
しかし南1局、3副露で両面待ちのテンパイを入れていた石橋は、茅森に痛恨の8000点を放銃。一気にラス目に転落する絶体絶命のピンチに追い込まれる。「今日もトップを取れる気はしなかった」と弱気が首をもたげたものの、ここからの粘りが“キング”という愛称の由来となった“南場の王様”の真骨頂だった。「親番が落ちたら死ぬ、と思ってやっていました」という悲壮な覚悟で迎えた南3局は、最後のツモ番でアガリ牌の南を引き当ててリーチ・ツモ・南・裏ドラ2の1万2000点。ラス目から一気にトップ目に浮上すると、続く1本場も南バックの仕掛けで南・ドラ3の1万2000点(+300点、供託1000点)を加点し、トップの座を安泰なものとした。
その後、オーラス1本場の軽やかなアガリで石橋がトップを決めると、視聴者コメント欄は「うおおおおお」「キング!キング!キング!」「俺たちのばっしー」「これが“キング”」「王の帰還」と大盛り上がり。チームメイトの朝倉康心(最高位戦)と瑞原明奈(最高位戦)も揃ってTwitterに「しゃあああああああああ」と石橋を真似たツイートを投下し、多くのファンと喜びを分かち合った。
喉から手が出るほどトップが欲しい状況で先発を託され、見事な復活勝利でファンやチームメイトの期待に応えた石橋。U-NEXT Piratesは徐々に負債を返済しつつあり、第2試合を終えてセミファイナル進出のカットラインである6位まで約60ポイント差と、先行するチームの背中がいよいよ視界に入ってきた。土壇場で華麗なカムバックを果たした“キング”が、昨シーズンに続いて混迷をきわめる終盤戦のジョーカー的な存在になるかもしれない。
【第1試合結果】
1着 U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)4万3100点/+63.1
2着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)2万3400点/+3.4
3着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)1万8000点/▲22.0
4着 渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)1万5500点/▲44.5
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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