就任会見から一夜明けた19日、オリンピック・パラリンピック組織委員会新会長の橋本聖子氏が自民党に離党届を提出した。橋本氏は「今、幹事長に離党届を出させていただいた」「しっかりと公正公平な立場で東京大会を運営していかなければいけない」と話している。
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だが、開催都市トップの東京都・小池知事は「議員を続けられるご判断をされておられるようだが、これから参議院の本会議が開かれる。政治的な判断もいろいろされると思う」とコメント。「分かりやすい形が望ましいのではないだろうか」と意見した。
女性蔑視発言で辞任した森氏の後任になった橋本氏には、世間からこんな声が寄せられている。
「やはり過去のセクハラは気になる」
「森さんはNGでなぜ橋本さんがOK?」
2014年、フィギュアスケートの男性選手にキスをし、セクハラ疑惑として物議を醸した橋本氏。海外メディアも同内容を報じ、物議を醸している。
18日の就任会見では「(7年前の行動が)パワハラやセクハラではないかという報道もあり、そうした声をどう受け止めているか」との記者の質問に対し、橋本氏は「当時も、そして今も深く反省をしている。しっかりと経緯を自分自身が受け止めながら、会長職を全うする」と回答。厳しい声を全て受け止め、反省しながら会長職に励むとした。
「謝罪したし、離党したし、これでいいのでは」
「いろんな犠牲を覚悟で引き受けたんだろうな」
橋本氏に擁護の声も寄せられている一連の騒動。過去はいつまで掘り返されるべきなのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、その是非について議論した。
■五輪の政治的中立性って? 離党届を提出した橋本氏
ひろゆき氏は自身のTwitterで元柔道選手のJOC理事・山口香氏を新会長に推していた。橋本氏の新会長就任をどのように見ているのだろうか。
ひろゆき氏は「僕は基本的に橋本さんで全然あり」とした上で、「離党という形で中立性も維持されるし、やってしまったことを悪かったと思って反省している。森さんの場合は謝罪の体だけで、謝罪していなかった。『あれは誤解した記者が悪いんだ、俺の考えは悪くない』はまずいよね、と思ってしまう。橋本さんは『やったことは悪かった』と善悪の基準を持っている。それが公に出ているので、いいのではないか」と見解を示した。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の新会長として就任した橋本氏だが、組織委員会は開催後に解体される。延期されなければ“半年一本勝負”で終わりの中、党を離れる必要があった。
ひろゆき氏は「極端な例だが、ベルリン大会ではナチスが絡むなど、政治のせいで無茶苦茶になったオリンピックもある。なるべく、いろいろな組織・団体から距離を置いて、“無職の人”がやったほうがいいと思う」という。
■7年前の“セクハラ疑惑”に対する釈明 追及はいつまでやるべき?
Business Insider Japan記者の西山里緒氏は「7年前のセクハラは批判されて然るべきだと私は思っている」と話す。
「『7年前のことを今さら追及するのか?』という指摘があるが、7年前は全然昔じゃないと思う。アメリカでは、トランプ元大統領が指名した最高裁判事のブレット・カバノー氏が、10代の頃の性暴力疑惑で告発された。オリンピックの代表者としては、7年前のセクハラは追及されて然るべき問題ではないか。それもあって(橋本氏は)議員を辞めるべきという議論も出てきている」
前会長である森氏もジェンダーに関連した発言をきっかけに辞職した。公人は、どこまで過去の過ちを世間に謝り続けるべきなのだろうか。
ひろゆき氏は「男女を入れ替えたら、立場が上の男性が若手の女性に無理やりキスをしたら完全にアウトだ。MeToo運動で問題になった映画プロデューサーなどと同じ状態。日本だと『男女逆だからまぁそれくらいあるよね』となんとなくフワッとしているが、海外は別に男女逆だから許されるというのはない。そういう意味で、海外の方が嫌悪感は強いのではないか」とコメント。
一方、テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「セクハラの問題があるから橋本さんは就任要請を拒んでいたという話もあるぐらいだ。ある意味、そこを突っ込んでいった。けれど、記者たちからはやはり聞かれて、『今も反省している』と言わされる。表に出る仕事でなければ誰も注目しない面もあるが、出ている以上は仕方ないのだろうか」と疑問を投げかける。
西山氏は「今回、決定プロセスが不透明で、なぜこの人に決まったのかという情報が全く開示されていなかった。だから今度こそ『なんでこの人なの?』という疑問が生まれた」と指摘。これにひろゆき氏は「実現可能性があって、ちゃんと実務ができる人」が基準になったのではないかと推測する。
「残された期間が短い状態で、結局のところ、無観客開催なのか、観客を入れてやるのかを決め切れなかった。去年の段階から『これは無観客じゃないと無理だよね?』と薄々分かっていたのではないか。選手のワクチン体制や、移動経路なども具体的な実務に落とし込んでやるべきなのに、いまだに観客を入れる想定でシナリオを作っている。その意味では、今までの組織委員会が無能だった。だったら、ちゃんと実務ができる人に代えたほうが、まだ実現可能性がある」(ひろゆき氏)
この意見に平石アナは「そこは表に出していないだけで、プランA、プランBみたいに計画を持っていると思う。観客を入れられるなら、入れようとしている」と反論。これに対して、ひろゆき氏は「計画は持っていると思う。ただ、観客を入れる想定をするのに時間がかかっていて、観客を入れるために気温を下げて……みたいなことをやっているだけ時間とお金の無駄だと思う」と発言。
「世界保健機関(WHO)やバイデン大統領が(オリンピックの開催は)事実に即して判断すべきだと言っている。外国人観光客を入れるなんてほぼ無理だ。でも森元会長は『それでも観客を入れるんだ』とずっと引きずっていた。そこを切れるぐらいの人の方がよっぽどコストも安くなる。30兆円ぐらいの損失を国民が被ることになるならば、そこをせめて2兆円ぐらいにしてほしいなと思う」(ひろゆき氏)
■会見で“過去の話”が出たのは「未来の話をしていないから」
森氏の辞任から、新会長就任のドタバタ劇。五輪開幕まで150日余りとなり、橋本氏にとっては苦難の道のりが予想される。西山氏も「いまいち橋本さんが五輪担当大臣になってから何をされたのか、まだ実績が見えていない。かなり大きい決断をされると思うが、もう(新会長に)決まってしまったので、後はちゃんと実績を見ていくしかない」との見方を示した。
ひろゆき氏は「会見で過去の話が引きずられてしまったのは、未来の話をしていないからだと思う。例えば無観客でやります、国も選手も制限しますなど、未来のために何をするか。こういう形でやると提案があったら、そちらに話題が移ったはずだ」と指摘。
「明確に未来をどのようにするかを言っていないから、『過去をほじくり返すぐらいしかニュースにならないよね』となる。本来であれば『未来をこうする』という新しい議論に向けるべきだった。そこは橋本さんのミスじゃないかな」(ひろゆき氏)
森氏の後任として新会長に就任した橋本氏。今後、新会長としてどのような手腕を見せるのだろうか。世間の注目が集まっている。
(ABEMA/「ABEMA Prime」)
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