シーズンが佳境になるとブーストがかかる。これまでの不調が嘘のように“キング”が卓上で躍動した。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月22日の第1試合で、石橋が今期3勝目を挙げた。
この試合の対局者はTEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう（最高位戦）、KADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳（連盟）、石橋の並びでスタート。石橋は開局、1100点をツモって先制すると、東2局と東3局1本場、リーチで満貫をアガってトップ目へ。その後もリーチと仕掛けを駆使し、場を圧倒した。打つ手それぞれが奏功し、アガリを積み重ねるその姿は、昨期のファイナルシリーズで獅子奮迅の活躍があった姿を観る者に彷彿とさせた。
石橋らしい一手もあった。場面は南3局、瀬戸熊がカン四万でリーチ。石橋は瀬戸熊のハイテイをずらすためのチー。するとこれが見事に瀬戸熊のツモ牌である四万を食い流すファインプレイとなった。安全牌ではない七万を切り出すこの手は若干のリスクもあったが、「（本来は良い待ちの形である）6・9筒ターツを払ったり、早めに六万を切ったりしているので、七万の縦（待ち）はないかなと思って」と説明した。これには「キング、天才」「さすがキング」と、石橋が標榜する“黒いデジタル”の妙技を絶賛する視聴者からのコメントが投稿された。
南4局2本場、石橋は手を伏せてもトップが確定するが、1・4・3索の絶好の3面張でテンパイするとこれをリーチ、瀬戸熊からリーチ・タンヤオ・裏ドラの7700点（＋600点）をアガって断トツとなった。続く南4局3本場、ドラの九万をポンするなどライバルをけん制し、親満貫のテンパイ。セミファイナルシリーズ進出に向けてチームのために少しでもポイントを積み上げたい、そんな覚悟が見てとれたこの仕掛けにライバルは誰も向かっていくことができない。結果、アガリ牌が石橋に訪れることはなく、ハイテイ間際にテンパイを崩し、手を伏せてトップが確定した。アガリは実に5回、放銃は0回とほぼパーフェクト、鈴木と瀬戸熊をノーホーラに沈黙させ、石橋が今期3勝目を獲得した。
インタビューで石橋は冷静を装いつつも、時折白い歯がこぼれ上機嫌を隠せなかった。「トップを取れず苦しんでいたんですが…。今日は簡単ではなかったですがサクっとトップを取れた感じで良かったです」と、好材料を活かした快勝に、笑顔をみせた。ファンに向けては「まだまだし烈な戦いが続くので、最後まで応援してくれると嬉しいです」と連覇へ向けて健闘を誓った。
昨期、リーグ優勝は紛れもなくこの“キング”石橋のポストシーズン終盤の活躍があってのもの。このトップは視聴者に当時の活躍を彷彿とさせ、「今年もまたこの男が」との予感を抱かせるに十分なものだった。シーズン終盤に頼れる男が戻ってきて、セミファイナル進出へ逆転通過となるストーリーも現実味を帯びてきた。
【第1試合結果】
1着 U-NEXT Pirates・石橋伸洋（最高位戦）4万7200点／＋67.2
2着 KADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳（連盟）3万4800点／＋14.8
3着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）1万3100点／▲26.9
4着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう（最高位戦）4900点／▲55.1
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
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