グランドからの無慈悲なヒザと鉄槌の連打に、青木真也が思わず「ストップ、ストップです!」と解説席から声をあげた。
2月22日に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された「Road to ONE:4th Young Guns」。山北渓人(リバーサルジム新宿 Me,We)と安芸柊斗(MMA Zジム)の修斗・パンクラスのランカー対決は、2ラウンド、山北がグランドからのヒザの連打、さらにパウンドを打ち下ろしてTKOで快勝した。その一方でレフェリーの試合を止めるタイミングを巡り、ゲスト解説の青木真也からの「もうふたタイミング早く止めるべきだった」という苦言を受け、視聴者の間でも論争となる一幕もあった。
修斗ランカーの安芸と、パンクラスのランカーでネオブラッド・トーナメント優勝などアマ時代から13戦全勝の山北はともに有望株だ。しかし、ストロー級の中でも際立つ長身で、打撃センスの高さを佐藤ルミナが認める安芸に対し、小柄でレスリング経験も豊富なグラップラーの山北。両社は体格、スタイルともに対象的でもある。
試合開始すぐに動いたのは山北。安芸の長い手足を封じるべく距離を潰そうと果敢にタックルを狙う。タックルからケージ際での四つの攻防へ。テイクダウンで上になった山北だが、体格差を生かした安芸が簡単に入れ替って難を逃れる。その後もタックルからバック、テイクダウンと寝技の攻防で山北が主導権を握ったまま1ラウンドを終えた。
2ラウンドも序盤から山北の積極性が目立つ。タックルから抱えるように倒すと、安芸も下から三角絞めを狙うが、がぶりの姿勢から山北の強烈なヒザを頭部周辺に複数被弾。
この日ABEMAでゲスト解説を務めた青木はかつて「PRIDE」のリングでお馴染みだったヒザ攻撃に言及し「階級が重いと一発一発が効きますが、この階級だとノックアウトには繋げにくい。だけど…貰い続けているのでストップもありえる」と指摘。さらに山北がケージに相手を押し込みヒザ、さらに鉄槌を一方的に打ち下ろす展開に危険を察した青木は「ストップ、ストップです! ストップです!」とレフェリーに促すように連呼した。この青木の反応を受け視聴者からも「早く止めろ」「もう駄目そう」などと声が上がると、間もなくしてレフェリーが割って入り試合を止めた。
やや様子をうかがってからストップの判断を下したレフェリーに対して青木は「もうふたタイミングくらい早くても良かった」と指摘。さらに「セコンドがタオルを投げても良かった。やはりレフェリーの技量に自信がないと思うんですよ」などと続けると、実況の西達彦アナウンサーも「これから未来ある選手ですから、なるべくダメージが残らない形で…」と応じた。
今回の大会、この試合に限らず、昨今、総合格闘技の試合では「レフェリーが止めるタイミング」について度々物議を醸すケースがある。トップ戦線で戦い続ける青木が発した選手目線での率直な意見。これには視聴者からも「青木選手じゃないとこれは言えないだろう」「(レフェリーも)まだやれたと文句を言われたくないというのもあるだろうな…」など様々な反応が寄せられていた。
最後に青木は圧勝した山北に対して「グランドのヒザはONEでしか許されていないルールでもある。UFCのルール、北米のルールでやったときにどうなるかはまた、別の話になると思う」などと課題も口にした。