「法律婚でなければ不妊治療の助成も受けられない。そういう“縛り”を無くしていきたい」野田聖子議員が語る少子高齢化・男女共同参画(1)
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 昨年生まれた子どもの実数は、2019年の“86万ショック”を下回る84万人ほどと見られている。25日の衆院内閣委員会で「今年におきまして、さらに減少するのではないかということで非常に深刻に受け止めているところだ」と述べた坂本哲志・少子化対策担当相に対し、立憲民主党の阿部知子衆院議員からは「コロナでも特に非正規の女性たちが多く仕事を失う、いわゆるジェンダーの問題が大きく日本における子どもの出生あるいは育てることに影響をいたしていると思う」と指摘している。

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 昨年10月の衆議院本会議で代表質問に立ち、「わが国最大の国難は少子化による人口減少だ。国民全体を巻き込んだ制度改革、意識改革の議論が本質であると考える」と訴えた自民党の野田聖子衆議院議員は『ABEMA Prime』(25日)に生出演、次のように話す。

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 「皆が家を失ったり、貧しくなったりして厳しい状況にあった終戦の年(1945年)にも270万人の子どもが産まれているのに、なぜ今はその3分の1にまで減ってしまったのだろうか。ただ、人口減少というのは日本だけで起きているわけではなく、他の国も準備を始めている。例えば結婚についても法律婚でもいいし、そうでなくてもいい。そして、生まれてきた子は平等に扱うよ、という国。あるいは1人より2人、2人より3人と、たくさん産んだ方が生活が楽になるという国。今の日本では全く考えられないような取り組みをした結果、子どもが産まれるようになった国もある。社会を支える人が減っていけば、それだけ1人にかかる納税や介護などの負担は大きくなる。しかし日本は私たち政治家も含め、皆が心地よく新しい家族を迎えられるために必要なことを優先していない、努力をしていないのではないのか」。

■「自民党は本当に邪魔な政党でした」

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 かつて雑誌のインタビューで「本気で少子化対策をするには自民党は本当に邪魔な政党でした」とも発言している野田氏。このことについて尋ねると苦笑しながらも「中高年の男性が多いのが悪いと言っているわけではない。しかし、自民党にはゲーマーがいないのでゲームのことが分からないのと同じように、少子化対策についても、集団の9割が男性なので、もう不可能に近いということだ。例えば私が役職に就くという話になると、決まって“子育てとの両立は可能ですか?”と聞かれるが、小泉進次郎さんにお子さんが産まれた時にも同じような質問をしたのだろうか。やはり男の人に限らずだが、“子育ては女の人が背負う”という感覚があるからこそ、男性が家事を担う時間も少ないし、政治の最優先課題にもなりにくい」と回答。

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 さらに「政治だけではない。上場企業の終身雇用システムでも、働くことというのは要するに連続性になっているので、妊娠・出産で空白ができてしまう女性は男性に比べて差をつけられてしまいやすい。だから“女性の方は非正規にしちゃえ”ということにした。その結果が今に繋がっていると思う。男女に限らず、産休・育休のために出世ができなくなるような空気があるとしたら、妊娠・出産がハッピーなことではなくリスクだと捉えられてしまう。会社で長時間仕事をすることが評価される、でも実は上がっていない、というところから、例えば夫婦が4時間ずつ働けるようになるとか、発想を変えていくことが必要だ」と話した。

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 一方、紗倉まなが「一人で生きていくだけでもこんなに息苦しいのに、さらに子どもを産めと強いられていると感じる人もいると思う」と指摘すると、「私も、そこが一番心配な気がかりなところだ」と応じ、「女性たちに“産めサイン”を送るのではなく、産みたいと思っても産めない環境を変えるのが少子化対策。あくまでも本人の意思は自由だ。また、実は男性も犠牲者だ。例えば私が20代の頃、銀行では結婚していない男性は支店長になれなかった。結婚していない人には社会的信頼がないとみなされていたからだ。しかし今も一人でいることに圧を感じるという人は多いと思う」と話した。

■「“ふしだら”と言われてしまうことさえあった」

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 さらに、数多くのJ-POPの歌詞英訳も手掛けているアメリカ出身のシンガーソングライター、ネルソン・バビンコイは、シングルマザーの一人っ子家庭に育った経験を踏まえ、「家賃をどうやって払おうかというような中、母はバイトを3つ掛け持ちして僕を育ててくれた。その経験から思うのは、社会に優しくされていなかったとしても、本当に子どもを産みたいと思う人は産むはずだということ。むしろ子どもを産まないという選択をする人生だって幸せだという人が増えている今、必要なのは日本にやってきた外国人が産みやすい、育てやすい社会にしていくことではないか。アメリカでも白人は5割以下になり、マイノリティが大半になってきている時代だ」が提案すると、婚姻制度の改革についても言及した。

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 「実際、介護やコンビニエンスストアの現場を見れば、海外から来た人や留学生に頼らざるを得なくなっている。しかし日本のことは基本的に日本に生まれた日本人だけで回していこう、移民はノー、というのが日本の考え方だった。アメリカのように多様な人々が集まって国を動かしていくという発想自体が自民党にはなかったし、むしろそういうことを言ってはいけないのではないか、というような雰囲気があったことも事実だ。それが法律婚をした男性と女性なら子どもを産んでもいいよ、みたいな今の非常に入り口の狭い制度にも現れていると思う。

 不妊治療も税金を使う以上は法律婚でなければならないといった固い縛りもある。それを解放することが大事だと私が主張するとと、“ふしだら”と言われてしまうことさえあった。しかし、例えばフランスでは、法律婚以外のカップルの間に産まれた子どもの権利を認めるようにした。日本だったら、あまり好意的に受け入れてもらえないかもしれないが、例えば後藤久美子さんとレーサーのジャン・アレジさんは事実婚だ」。

■「別の名字でいきたいということも認めなければならない」

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 多様な価値観を認めるという点に関連して、「選択的夫婦別姓」の問題も議論の俎上に上がっている。24日には、男女共同参画担当相に就任した丸川珠代議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に反対を呼びかける書状に署名していたことが判明、「私個人の信念だ」と説明したことが報じられている。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「どうしても反対だという人がいるが、選択的夫婦別姓が導入されたからといって、その人の権利が制限されるわけではないはずだ」と疑問を呈する。

 野田氏も「多様性を認めるということは、同じ名字がいいということも、別の名字でいきたいということも認めなければならない。しかし日本は他国と違い、結婚する時に名字を一緒にしないといけなければならない法律がある。そのために結婚をためらう要因になっている人、“彼のことは好きだけれど、どうして名前を変えなきゃいけないの”と疑問を持つ人が増えているが、この法律がいつできたかといえば、明治時代だ。」とコメント。

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 その上で「私たちは個人の思いだけではなく、“あんたに意見を言うから、それを形にしてね”と投票してくれた人たちの代弁者として国会議員になっている。私のところには“どちらでもいいじゃないか。選択できるようにしてくれ”という声があがってきているが、丸川さんのところには反対する声があがってきているということではないか。私もこの問題に30年近く取り組んでいるが、反対意見は基本的に変わっていない。つまり、“家族の一体感がなくなってしまう”という主張と、“子どもがかわいそう”という主張が主なものだ。

 そしてさっきも言ったように、国民の声を代弁するはずの議員が、自民党では9割も男性だったということも関係している。名字を変えるということを考えなくても済んでしまう側の男性が大多数なので、賛成・反対以前に関心がない。以前は仲間がいなかったが、話題になってきたことで、“別姓でいいんだ”と言ってくれる若い男性議員も出てきている。これは大きな変化だ。これから国会ではそういう様々な意見を机に乗せ、メリット、デメリットも含め検討し、答えを出していく。あくまでも決めるのは丸川大臣ではないし、これからの10代、20代の人たちの将来にとって何がハッピーなのかという結論を出していきたい。<2につづく>(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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