長い冬眠から目を覚ました最年長Mリーガーが、高らかにサクラの開花を宣言した。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」3月2日の第1試合で、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠（連盟）が昨年12月7日以来となる今期3勝目を挙げた。
この試合の対局者はKONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大（連盟）、セガサミーフェニックス・和久津晶（連盟）、TEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）、沢崎の並びでスタートした。昨シーズン、KADOKAWAサクラナイツの一員としてMリーグに参戦するや、圧倒的な経験値の豊富さと磨き上げられた技術を武器に、チームのポイントゲッターとして大活躍した沢崎。しかし今期は序盤から勝利に見放され、試合前の時点で個人成績は30人中29位と、好調なチームにあってひとり大きく負け越す苦しい状況が続いていた。
しかし長い麻雀人生、いいときもあれば悪いときもあるということを誰よりも理解している沢崎だけに、“マムシ”と称される老獪さや余裕たっぷりの打ち筋がブレることは決してない。最初の見せ場は東3局1本場。和久津が役満・国士無双をテンパイした直後、沢崎も三万待ちの一盃口をテンパイする。和久津の入り目の發を「前に出なければ勝てませんから」「役満振ったらしばらく冬眠する」と放銃のリスクも織り込み済みで切り出すと、次巡に三万の筋となる六万をツモ切りリーチ。解説の河野直也（最高位戦）も「お見事」と感嘆したリーチ判断で瀬戸熊から三万を引き出し、リーチ・一発・一盃口の5200点（＋300点）で役満を阻止した。
南1局2本場には、絶好の3面張からリーチ・一発・ツモ・赤2の8000点（＋600点）をアガり、共に60代のMリーガーとして奮闘する前原からトップ目の座を奪い取った沢崎。大ベテラン同士の激しいトップ争いに視聴者も「重厚な戦いだ」「レジェンド対決」「2人で130歳」と沸き立つ中、沢崎は南3局にもリーチ・一発・タンヤオ・平和・赤2・裏ドラの1万2000点を加点する。3度のリーチをすべて成功させ、しかも必ず一発でのアガリと達人級の技量を存分に見せつけた。
3選手のリーチに囲まれたオーラス、七対子をテンパイした沢崎は「オリて放銃は避けたい」とまっすぐに六万を打ち抜いて前原に放銃。このアガリはリーチ・一発の2600点（＋供託2000点）止まりとなり、約3カ月ぶりのトップが確定した。裏ドラが開かれる瞬間まで緊張感たっぷりの展開に、解説の河野は「すごい対局でしたね！」と大興奮。しかし当の沢崎はいつものように飄々とした笑顔でインタビューに登場し、「新年明けましておめでとうございます」と冗談を飛ばす余裕も見せた。
熾烈なボーダー争いを展開する下位チームの選手たちの意地と気迫を、持ち前の図太さで跳ね返した沢崎は「サクラの咲くころになってきたので、僕も冬眠から起きて活躍したいと思います」と一足早く“開花宣言”を行った。セミファイナルシリーズ進出をほぼ確定させたKADOKAWAサクラナイツは、続く第2試合でも岡田紗佳（連盟）がトップを獲得。このまま全4選手が上り調子のまま次のステージを迎えるようなら、昨シーズンを超える猛烈な“サクラ吹雪”がMリーグに吹き荒れることになりそうだ。
【第1試合結果】
1着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠（連盟）3万9600点／＋59.6
2着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大（連盟）3万2600点／＋12.6
3着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹（連盟）2万8500点／▲11.5
4着 セガサミーフェニックス・和久津晶（連盟）－700点／▲60.7
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
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