“選択的夫婦別姓”に反対? 丸川大臣の姿勢に「疑問が湧くのは当然」 任命側の責任も?
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 男女共同参画担当の丸川珠代大臣は、大臣就任前の1月30日、地方議会に対して「選択的夫婦別姓に賛同する意見書」を採択しないよう求める文書を、自民党の国会議員50人との連名で送付していた。

【映像】丸川珠代大臣の答弁の様子

 「率直な感想として、失礼な手紙だなと。地方議会の意思決定に、国会議員があれしろこれしろなんて前代未聞。取りようによっては、圧力になりかねない問題だと思った」(埼玉県議会・田村琢実議長)

 国会では野党が、丸川大臣は男女共同参画担当にふさわしくないのではないかと追及した。選択的夫婦別姓に反対する理由を問われた丸川大臣は「私には私の考えがあるのは確かだが、それはそれとして、私は大臣として務めを果たしたい。大臣として反対したわけではない。反対かどうかについての答弁はできない」などと述べ、7回にわたり答弁を拒否した。

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 選択的夫婦別姓の導入については、世論の関心が高まりつつあるものの、政府や自民党内での議論が全く前進していないのが現状だ。この現状について、制度の早期導入を求め署名活動を行う「#男女共同参画ってなんですか」プロジェクト代表の櫻井彩乃さんに話を聞いた。

 「昨年夏に第5次男女共同参画基本計画のパブリックコメントがあって、それを集めた時に一番多かったのが選択的夫婦別姓と同性婚を望む声で」(櫻井さん、以下同)

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 オンライン署名サイト「Change.org」で集まった署名は3万2000筆あまり。夫婦別姓を求める人からは、「自分の姓を大切にしたい」「名義変更の負担がなくなる」といった理由のほかに、「キャリアや社会的信用の継続性を維持したい」と訴える声もあがっている。

 櫻井さんは、今回の丸川大臣らの行動についてどう感じたのか。

 「国会議員から地方議員の方、特に政党に所属されている方からああいうものが届くと、結構圧力になるんじゃないかなと思って。ああいう文書で『反対するように』みたいなものが出回るのはどうなのかなと思う。(丸川大臣は)一議員としてああいう思想、選択的夫婦別姓に関して反対という思想でいらっしゃると思っていて、求める声をどうバランスを保って聞いていくのかなと疑問に思う。昨年、結構前向きに進めてくださっていた橋本さんも『旧姓使用の拡大だけじゃダメなんだ』という風に仰っていたので、丸川さんにもぜひそこの部分は声を届けて、ちょっとずつ変わっていっていただけたらいいなと思う」

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 署名活動を通して、若者を中心に関心が高まっていることを実感しているという櫻井さんは、もっと幅広く問題提起していきたいと話す。

 「『#男女共同参画ってなんですか』としては、そういった方たちに『ジェンダー問題でこういったことがあるんだよ』とか、皆さんの中にある言語化できないモヤモヤっていうものを一緒に考えていく、声を上げていく場を作りたいと思っている」

■丸川大臣の姿勢に「疑問が湧くのは当然」 任命側の責任も?

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 丸川大臣の答弁について、東京工業大学准教授の西田亮介氏は「一議員としての考えと、大臣の職についてから思想や考えが変わるということはさほど珍しいことではない」と指摘。「最近の例でいうと、自民党議員ながらもともと原発に反対の立場をとって、ブログにも書いていた河野太郎氏は、入閣してからはそのような発言をしなくなった。そうしたブログの記述も目につかないようになった。内閣の意志や方針を決定する閣議には、閣内一致の原則といって全員の意見が一致することが重要とされ、政府に入ると政府の方針に基本的に賛成する習慣がある」と話す。

 その上で、「河野大臣の例だと、入閣してから担当してきたのは防衛大臣、行政改革担当などで原発問題は直接合致しないのに、政府の方針にあわせた。しかし、丸川大臣は男女共同参画担当であり、選択的夫婦別姓は導入した方がいいのではないかという昨今のトレンドの中で、反対というのはとても違和がある。しかも、発言が直近であることからしても、本当に男女共同参画担当でいいのかという疑問が湧くのは当然だ。しかし責任ということでいえば、本人よりも近い過去にそのような発言をしている人を担当大臣に任命した、任命権者の道義上の責任の方が問われるのではないか」と述べた。

 では、選択的夫婦別姓の導入は進むのだろうか。西田氏は「僕は基本的にいろいろな選択肢があり、実際にそれを選べるのが豊かな社会だと考えている。必ずしも別々の姓を名乗らなければいけないというわけではなく、それぞれの姓を名乗ることもできるし、同じ姓にすることもできるようになって、個人の選択肢が増えるという観点からして、選択的夫婦別姓は好ましいものに思える。同姓が重要だと思うカップルはその環境下でも同姓を選択すればよいではないか。他人や他の夫妻の選択に強制する必要はないし、その条件下でも同姓が選択されるようなら、同姓文化の強さが明らかになったともいえるのではないか」との見方を示した。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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