味方につけばこれほど頼りがいのある選手もいないが、他チームからすればその存在は「ラスボス」級の脅威だろう。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」3月9日の第1試合で、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)が個人2連勝で今期7勝目を獲得。セミファイナルシリーズ進出を争う下位チームを尻目に、ポイントの余裕を活かして伸び伸びとトップ狙いの麻雀を打ち、しっかりと好結果に結びつけた。
この試合の対局者は起家からEX風林火山・滝沢和典(連盟)、多井、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)の並びでスタートした。シーズン中盤以降、他チームを大きく引き離して首位を走る展開が続いた渋谷ABEMAS。大きなアドバンテージを手にしたことで、最終盤にラス回避や連対狙いなどのミッションを遂行する必要がなくなり、「トップだけ狙って自由に打ってきて」とチームメイトに背中を押された多井はやや前がかりな麻雀を披露する。
試合後に「ちょっと今日はしつこく、いろいろやろうと思っていました」と語ったように、東1局から満貫狙いの仕掛けなど積極的な姿勢を示した多井。親番の東2局1本場にリーチ・ツモ・タンヤオ・平和の7800点(+300点)をアガって試合の主導権を握ると、東3局3本場には「いつもよりわがままに打ってみました」と滝沢のリーチに対して一発で放銃するという珍しい場面も。しかしこれもトップを狙うなら想定内とばかりに、東4局1本場に仕掛けを入れた純チャンの2000点(+300点、供託1000点)で持ち点を回復。トップ目を維持したまま南場に突入した。
2度目の親番となる南2局1本場には、東2局1本場と同様にリーチ・ツモ・平和・裏ドラで7800点(+300点)を加点。半荘を通じて満貫以上のアガリが一度も出ない“小場”も「自分の得意なフィールド」と豊富な引き出しをフルに活用し、南3局はリーチ・ツモの2700点、オーラスも南・ドラの2000点(+供託1000点)と細かいアガリを重ねて対戦相手に付け入る隙をまったく与えなかった。
4日の試合で奇跡的な大逆転トップを決めた近藤とのめくり合いを制して多井がトップを確定させると、視聴者からは「たかはる強えぇ」「多井さん強すぎるわ」「これが多井なんだよな」「マジでラスボス」といったコメントが殺到。一刻も早くセミファイナル進出を確定させて楽になりたいEX風林火山や赤坂ドリブンズ、そしてセミファイナル進出争いの真っ只中にいるセガサミーフェニックスの立場からすれば無慈悲とも言えるその強さに、あらためて多くのファンが戦慄していることが伺えた。
第2試合にも連投で出場した多井は2着を確保し、渋谷ABEMASのチームポイントをふたたび+600ポイント台に乗せることに成功。さらに個人ポイントは+282.4と、Mリーグで唯一となる3シーズン連続での+200以上をほぼ確定させた。今期序盤から中盤にかけて勝利から見放されることもあったが、「終盤に追い上げるので」と予告した通り、レギュラーシーズン88戦目にして絶好調だったチームメイトの松本吉弘(協会)をも上回る個人4位まで順位を上げた多井。インタビューで「自分の中では調子は良いので、打てれば打てるだけトップ狙いたいと思います」と言い切ったその姿には、紛うことなき大エースの風格が漂っていた。
【第1試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)4万4200点/+64.2
2着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)2万6400点/+6.4
3着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)1万6400点/▲23.6
4着 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)1万3000点/▲47.0
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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