規格外の強さと「東北魂」を見せつけて、最後まで全速力でレギュラーシーズンを駆け抜けた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」3月11日の第1試合で、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)が個人13勝目となるトップを獲得。南3局の豪快な倍満ツモで一気に試合をひっくり返し、チームのセミファイナルシリーズ進出をほぼ確定させ、さらに自身初のMVPにも王手をかけた。
この試合の対局者は佐々木、TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)、EX風林火山・勝又健志(連盟)の並びでスタート。2011年3月11日に発生した東日本大震災から丸10年となるこの日。試合開始前には選手たちの黙祷が捧げられた。被害の大きかった東北(宮城県仙台市)出身の佐々木にとっては、いつも以上に力の入る一戦。88試合を終えて5位のKONAMI麻雀格闘倶楽部は、トップで6位のTEAM雷電との差を広げればセミファイナル進出がほぼ確定する状況だけに、必勝を期して個人成績で首位を走る大エースを試合に送り込んだ。
序盤はやや出遅れた格好となった佐々木だが、東4局4本場に白のみの1100点(+1200点)で勝又の連荘を阻止すると、迎えた南1局の親番でリーチ・ツモ・中・赤・ドラの1万2000点のアガリをゲット。目下のライバルである瀬戸熊をラス目に追いやりつつ、トップが伺える2着目に浮上する。しかし続く1本場、佐々木はヤミテンで跳満確定の七対子に構える瀬戸熊に七対子・赤2・ドラ2の1万2000点(+300点)を放銃。一転して自身がラス目となり、さらに最後の親番も手放すという大ピンチに陥った。
ラスを引いてしまうと、一気にセミファイナル進出も危ぶまれるような状況。しかしMリーグレコードとなる13翻の三倍満をはじめ、今期いくつもの豪快なアガリを決めてきた佐々木は、ラス目のまま迎えた土壇場の南3局に真骨頂を見せつける。ツモれば三暗刻の手で6巡目にドラ切りリーチを敢行すると、驚きの一発ツモでまず満貫確定。さらに裏ドラも3枚乗せ、リーチ・一発・ツモ・三暗刻・裏ドラ3の1万6000点で一気にトップ目まで浮上した。
今シーズン幾度となく繰り返されてきた状況を一変させる“魔王”の一撃に、実況の日吉辰哉(連盟)は「なんだよもうこの人!毎回毎回!なんなの!?」「こんなのできるのこの人しかいない!普通じゃない!」と大興奮。仮に出アガリで裏ドラが乗らなければリーチのみの1600点の手を倍満に仕上げるという離れ業に、解説の渋川難波(協会)も「魔王すぎるでしょ!これはもう魔王ですよ」と脱帽するほかない様子だった。
瀬戸熊をふたたびラス目にしたことで、アガればトップとレギュラーシーズン突破を手中に収めることができるオーラス。佐々木はカンチャン待ちからドラの四万をあっさりとツモり、ツモ・ドラの2000点でドラマチックな逆転劇を締めくくった。エースとしてチームをセミファイナルに導き、最多勝タイ以上が確定する13勝目に、視聴者コメント欄にも「強すぎる」「マジでかっこいいわ」「スーパースター」「MVPにふさわしい」と称賛の言葉がずらりと並んだ。
MVP争いでも2位のKADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)に約75ポイントの差をつける+494.1に到達し、レギュラーシーズン最後の出場で開幕前に掲げた「+500ポイント&MVP」という目標をほぼ達成した佐々木。インタビューでは「僕は宮城県出身で、今日は東北の方からもメッセージをいただいたんですけど、それが力になってトップを取れたと思います」と被災地に思いを馳せ、試合後には自身のTwitterにも「東北魂見せられて良かった!」と投稿。2020シーズンのMリーグを席巻し、いくつもの劇的な瞬間を生み出してきた東北の星・佐々木の活躍は、間違いなく多くのファンに勇気と元気を与えたはずだ。
【第1試合結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)3万1100点/+51.1
2着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)2万7800点/+7.8
3着 EX風林火山・勝又健志(連盟)2万5000点/▲15.0
4着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)1万6100点/▲43.9
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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