わずか1分ほどの間に、バックブロー、掛け蹴り、剛腕パンチを連打。あまりのパンチ力に敗者が前のめりに崩れ落ちる衝撃の結末に「マイク・タイソンのようだ」と解説が驚愕。右眼窩底骨折の不安をおして参戦した“ゴールデンフィスト”が、生まれたばかりの娘に圧巻の勝利を捧げた。
3月21日に東京ガーデンシアターで開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K’FESTA.4 Day.1~」。K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者の山崎秀晃が不可思を1ラウンド1分10秒でKO。ひたすら剛腕を振るい短時間で相手をなぎ倒す戦いぶりにABEMAのゲスト解説・関根勤は「まるでマイク・タイソンのようだ…」と驚きの声を上げた。
山崎にとってはノンタイトル戦ながら悲願のK-1タイトル戴冠以来となる試合。K-1参戦から2年、勝ち負けを繰り返しつつも強豪相手にベストバウトを連発してきた不可思との対戦は、今後の防衛ロードへの試金石となる。
試合はわずか1分間、瞬きする暇もない“山崎春のパンチ祭り”となった。ゴング開始と共に山崎のバックブロー炸裂。クリーンヒットの奇襲攻撃に“ニアダウン”の不可思。すぐに立て直しローを叩き込んで応戦するが、山崎が得意の掛け蹴りで華麗な足さばきを見せると、そこから怒涛のパンチの連打。テンポの早い山崎の攻めに不可思は面食らったように思わずクリンチに動く。パンチが効いているのか、フラフラと前に出て力ないパンチを繰り出す不可思に対して、山崎が再び掛け蹴り。優位な状態でも山崎の冷静な試合運びが際立った。
すると視聴者から「キレッキレだな山崎」「強すぎる」「ハンドスピードが違う」などと驚嘆の声が上がるなか、山崎の突き刺すような左が不可思をとらえた。スリップぎみに倒れた不可思だが、ダメージは明白だ。その後もフットワークを使いながらパンチを当てていく山崎がフルスウィングの右フック、右ミドル、バックブローと多彩な攻撃を繰り出すと、これらが全てヒットしていく。
幕切れは突然だった。距離をおいて前に飛び込んできた不可思に、山崎がカウンター気味に差し出した鋭い左が不可思のアゴを直撃。フラフラと足をバタつかせながら前のめりにダウンした不可思は、立ち上がろうとするも、額をリングにつけて再度崩れ落ちる。この様子を危険と判断したレフェリーが試合を止めた。
両者の激し攻防が期待されたカードだけに、ゲスト解説を務めたお笑いコンビ品川庄司の品川祐は「もうちょっと見たい気もしました…」と本音を覗かせると、山崎の剛腕ぶりについて関根勤は「全盛期のマイク・タイソンみたいな戦い方」と述べた。
短期決戦をモノにした山崎は「どうだ」とばかりに腕を組んでポーズ。気分が高まったのか試合後も「これがK-1だろ!俺がゴールデンフィストだろ!」といつになく荒ぶったマイク、さらには先月生まれたばかりの娘へのアピールで勝利者トロフィーを抱きかかえて赤ん坊のようにゆらゆらと揺らすなど、終始上機嫌だった。
圧倒的な強さを見せた山崎だが、試合直前に右眼窩底骨折になり焦点が合わない状況をおして参戦していたことも告白。「意識的に短期決戦を狙っていた」と不安の中での“先手必勝プラン”だったことを明かしている。