この秋、13年ぶりに日本人宇宙飛行士が募集されることをご存知だろうか。宇宙航空研究開発機構(JAXA)がアメリカ航空宇宙局(NASA)主導の月面開発計画への参加を決定、今後、5年に1度をメドに、定期的な募集が行われるという。
・【映像】超過酷な選抜試験その内容とは...
「ついに来たなと。今から緊張している」。今回の発表を心待ちにしていたというのが、会社員の木村さん(仮名、30代)。地元で開かれた元宇宙飛行士の毛利衛さんの講演を聞き、「こんなに楽しい、かっこいい職業があるんだ」と感動。高校の文集でも、将来の夢を“重力脱出”と表現。社会人になってからもエンジニアとして働く傍ら、語学の学習やトレーニングに励み、食生活にも気を配ってきた。それだけでなく、アメリカでパイロットの訓練に参加しているという。「受験するということは、まだ会社には言えていない。ただ、宇宙を目指していること自体は知っているので、あまり驚かれれないだろうなとは思う」。
そもそも宇宙飛行士になるための試験とは、一体どのようなものだろうか。2008年に最終選考まで残った内山崇氏によれば、約1年がかけられた大規模なもので、963名が応募、書類専攻と英語の試験で230名に絞られたという。
「その230人が集められて1次選抜を受ける。基礎的な理系の能力を見る筆記試験、簡単な医学検査を2日間かけて行い、今度は50名に絞られる。2次選抜は1週間かけて病院の近くに泊まり込み、4日間くらいかけて体中の穴という穴を全て調べられるような医学検査だった。そして英語や専門能力を見る、面接の嵐。この時点で10名に絞られ、最終選抜に臨む」。
米ヒューストンでの試験も含め、あわせて18日間かかったという最終選抜では、三半規管の機能をチェックするための「回転椅子」、クローズドのエリアに10人を閉じ込め、分刻みの課題を与え続ける「閉鎖環境試験」、さらには「“宇宙飛行士を癒すロボット”を作る」まで、精神的にも肉体的にも厳しい課題が相次ぎ、最後は3名の宇宙飛行士候補が選ばれたという。
「乗り物酔いしやすい体質だったので、休みの日に会社に忍び込んで、椅子をグルグル回して訓練をしたこともあった(笑)。ロボットの課題は、急に海外の要人が来たから、その人たちを相手にプレゼンせよと。ものすごいイチャモンを付けられて呆然とした。おそらく、わざと追い込み、チームとしてどのように動くのかを見られていたのだと思う。好奇心が旺盛で、何事にも自ら飛び込んでいくという性格が向いていると思うし、挫折してもそれを乗り越えられる精神的なタフさも必要だと思う」。
テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「私は野口聡一さんの取材をしたことがあるが、“野球のポジション”と言っていた。知識や英語力、体力だけでなく、色々なものを背負って乗り込むし、多国籍のメンバーが狭い所で共同生活をするので、人格、人柄も求められるということだ」とコメント。
木村さんが「宇宙にかける一途な思いを、今回ぶつけていきたいなと思う。でも、すごい方がいっぱい受験にくると思う。そういう中でネガティブにならずに自分の実力を出すために、どうすればマインドを作っていけばいいのか…」と尋ねると、内山氏は「まず、覆面でこれだけ落ち着いて喋れるだけでも、すごい能力があると思う(笑)。確かにすごい方々が揃っていたので自分が最後まで残るとは思わなかったが、やはりこういうチャンスはそうそうないし、自分は宇宙開発の分野で一途に生きてきたので、そこはブレずにやってきた、誰にも負けないぞという気持ちを持って、やれることは全てやろうと出し切ろうと、モチベーションを高く維持していた」とアドバイスしていた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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