プロデビュー4戦目の選手が、トップ戦線の強者を“ずば抜けた”身体能力で圧倒。次々に繰り出す破壊力満点の攻撃で前に、後ろに立て続けの“大の字”ダウンを奪う圧巻のKOショーを披露すると、視聴者から「昔のK-1を思い出した」など驚きの声が上がった。
3月28日に日本武道館で開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K’FESTA.4 Day.2~」で、期待の新鋭である寧仁太・アリ(K-1ジム総本部チームペガサス)が海斗(ポゴナ・クラブジム)から2つのダウンを奪い鮮やかなKO勝ち。プロわずか4戦目のアリが、トップ戦線の強者・海斗から前のめりからの大の字、さらに後ろへ大の字という危険なダウンを奪って初のK-1の舞台でポテンシャルの高さを遺憾なく発揮した。
ガーナ人の父と日本人の母を両親に持つ21歳のアリ。幼年期に難病のペルテス病を克服し、サッカー経験を経てK-1ジムに入門。その後はK-1アマチュアAクラス -70kg優勝、プロ転向後は3戦3KOと無敗記録を更新中の逸材だ。とはいえK-1の大舞台で、いきなり木村“フィリップ”ミノルなどトップ選手と拳を交えている海斗という難敵を迎え、真価が問われる1戦となった。
1ラウンド、両者キックで出方をうかがうが、アリの長い足から繰り出す伸びのあるハイやロー、さらにリーチの長さが際立つ出だしとなる。対する海斗は近い距離で左右の強打を狙っていくが、次第にアリの右ローが海斗の足を捉え始める。
2ラウンド、至近距離で打ち合いたい海斗だが、アリの右のインローを受けうまく近づけない。徐々にペースを掴んだアリは、振り回し系の右フック、インローへの蹴りと海斗の右足にターゲットを絞る。さらに勢いに乗ったアリは、飛び蹴りのハイやヒザを繰り出すなど、大胆な攻撃も見せ始める。
最終3ラウンド、後がなくなった海斗が序盤から強打をしかけるが、アリが顔面への飛びヒザで応戦すると、左右のフック、バックブローなどで波状攻撃を展開する。海斗もパンチで応戦するが、アリの打点の高いヒザを再び顔面に被弾すると目尻をカット。海斗は、アリの畳み掛けるような右のハイキックを受け止めたかのように見えたが、ダメージの蓄積からか、前のめりにダウンして大の字に。このとき、苦しさを物語るように自らマウスピースを吐き出す場面も見られた。
なんとか立ち上がった海斗だが、もはや動きにキレはない。アリが左ハイ、右のジャンピングハイ、右ストレートと大技コンボを打ち込むと、海斗は後ろ向きに倒れ込んで再び大の字になり力尽き、しばらく立ち上がることができなかった。
明日、22歳の誕生日を迎えるというアリは、試合後に感極まったか涙を流す場面も。初のK-1の舞台での快勝に「Kー1ファンの皆さん、はじめまして!(海斗戦は)決まってからずっと怖かったですけど、成長したかったので頑張りました」と初々しいマイクまで披露した。海斗を終始圧倒して見せたアリの強靭かつしなやかな身体から繰り出される怒涛の攻撃に対して、ABEMAの視聴者からは「美しい攻撃」「荒削りだけどいい」「昔のK-1を思い出した」などの驚嘆の声。さらにアリという名前からか「蝶のように舞い過ぎ」などのコメントまで寄せられていた。