ファン待望の再結成だ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」の大会に先立ち行われたドラフト会議の模様が3月27日に放送された。リーダー棋士の一人、佐藤康光九段(51)は1巡目に森内俊之九段(50)、2巡目に谷川浩司九段(58)と、前回と同じ指名を行った。第3回大会のドラフト会議でも最も話題となり、大会期間中もファンサービス満点だった3人のレジェンドが、今回も大会をフルで盛り上げる。
前回の優勝チームは、圧倒的な強さを誇った永瀬拓矢王座(28)、藤井聡太王位・棋聖(18)、増田康宏六段(23)の「チームバナナ」。ただ、将棋ファンたちの心をとらえたという意味でのMVPチームは、やはりレジェンドチームだった。「本気を出せば強い」と宣言した前年は、言葉通りに予選を突破。本戦でも活躍は変わらず、見事にベスト4入りを果たした。また大会期間限定で始めたTwitterアカウントでの発信も、ファン注目の的に。さらに終了後には書籍化までされるなど、「チーム康光」が一つのコンテンツとして確立していた。
今回のドラフト会議では、第3回に大活躍した森内九段が重複指名になるのでは、と読んでいた。ところが結果は、単独指名でゲット。「ちょっと予想はつきませんでした」と意外そうだったが、これでレジェンドチーム再結成の目処がついた。「前回、ある程度は経験でも若さに対抗できるところは見せられた。自分は負け越してしまったので、今回は選んだ責任として勝ち越したいです」と、リーダー棋士としての意欲は高まっている。
新型コロナウイルスで公式戦が中止、延期になる中で、この大会は棋士の真剣な表情、普段は見せないくだけた表情などを伝えるものとして、沈む雰囲気を打破したものだという日本将棋連盟会長としての認識もある。「将棋のパワーで少しでもみなさまの活力になりたいです」と、将棋界全体として世の中を盛り上げる大きなツール。それがABEMAトーナメント。永世名人2人、永世棋聖1人。再び集まった「シン・レジェンド」は今年、さらに輝く。
◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。