1ラウンド開始1分で2度のダウン。敗色ムード濃厚のなか、猛攻を耐え抜き電光石火のバックブローで鮮やかな逆転KO。ダイレクトリマッチに訪れた“涙のタイトル奪還劇”が反響を呼んでいる。
3月28日に日本武道館で開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K’FESTA.4 Day.2~」において、K-1 WORLD GPクルーザー級王者のK-Jee(K-1ジム福岡チームbeginning)と前王者・シナ・カリミアン(POWER OF DREAM)が対戦。1ラウンド、カリミアンがK-Jeeの強打に2度のダウンを奪われるも、2ラウンドに起死回生のバックブローを一閃。K-JeeをKOしてタイトルを奪還。その後、身長2メートルのカリミアンはリングにひれ伏すように崩れ落ち、男泣きを見せた。
これまでの両者の対戦成績は1勝1敗。カリミアンは11月の福岡での防衛戦で、挑戦者K-Jeeの猛打の前に1ラウンドで撃沈して王座から陥落している。3度目の対戦は、決着戦ともいえるダイレクトリマッチとなった。
試合開始直後、カリミアンの鋭いローとミドルに対して距離を縮めたK-Jeeがボディー、フックと畳みかける。カリミアンは組んでパンチを防ごうとしたが、それを力でひき剥がしたK-Jeeが、再び強打を見せつけ開始15秒でダウンを奪う。
“先手必勝のカリミアン攻略法”を再現したK-Jeeはさらに、右左と強烈なフックを叩き込む。防御する素振りをみせずに次々とパンチを顔面に被弾したカリミアンはあっさり2度目のダウン。リングには早くも敗色ムードが漂い始める。
1ラウンドの残りは2分以上。K-Jeeの勢いは止まらずに猛攻を仕掛けていくが、カリミアンはフラフラしながらクリンチや前蹴り、時折パンチやヒザを繰り出しながら、このラウンドを乗り切ろうと必死だ。K-Jeeの強烈なバックブローもカリミアンは抱きつきで逃げ、反則とされる掴みからのヒザ攻撃で注意を受けながら、このラウンド3つ目のダウンを回避。勝負への執念を見せた。
2ラウンド、早々に2つのダウンを奪い試合を優位に進めてきたK-Jeeだったが、打ち疲れたか、肩で息をするなど疲労が感じられる。一方のカリミアンはパンチやヒザを見せつつ、復調の兆しだ。しかし、カリミアンのホールディングのヒザ攻撃も回数を増し、レフェリーによる2度の警告も。
直後、思わぬ形での劇的な幕切れが訪れる。右ローを放ったK-Jeeのガードが下がったところに、ガードを縫うようにカリミアンが高速回転のバックブロー。巨体が竜巻のように旋回すると“バコッ”という音とともに側頭部を打ち抜きK-Jeeは前のめりにダウンを喫した。
何とか立ち上がろうとするが、足下はふらふら、さらに目が泳いでいる危険な様子。辛うじて立ち上がったが、足元がおぼつかず崩れ落ちるK-Jeeをレフェリーが支えながら、続行不可能のジェスチャーで試合をストップした。
序盤には考えられなかったカリミアンの大逆転劇にABMEAの実況は「形、勢、逆、転!」と絶叫。視聴者からも「すげえ、こんな逆転ありかよ!」「執念の勝利」など驚きの声が。一方では、鮮やかなバックブローでのKO劇を称賛しつつも、反則を繰り返したカリミアンに対してファンからは「もう一度ダイレクトリマッチを!」など、4度目となる再戦を望む声が早くも上がっていた。