3月31日に公表された、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」最新版。156カ国中120位、G7では最下位という屈辱的な日本の順位に、政界からは「率直に言って恥ずかしい数字だ」(自民党の下村政調会長)、「深刻に考えている」(公明党の竹内政調会長)、「もうがっかりして」(立憲民主党の辻元副代表)といった声が相次いだ。
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今回の結果について、アゴラ研究所所長の池田信夫氏は「このランキングのインデックスは政治・経済分野に偏っている。つまり政治家と、大企業の役員に女性が少ないということだ。背景には差別や文化の問題以上に、日本人の働き方の問題がある」と指摘する。
「日本の政治活動は運動会やお祭りを回ってとにかく握手をするという、非常に“ドブ板”的なもの。はっきり言えば肉体労働だ。これに女性が耐え、何度も当選するというは非常に難しい。一方、本来の男女比が50%であるにも関わらず、国民の代表である衆議院議員に10%、参議院議員に20%にしかいないというのは明らかにおかしい。ここはクオータ制によって是正してもいいと思う」。
他方、経済分野については、女性の役員比率を高めることが必ずしも正しい解決策ではないとの立場を取る。
「一般的に日本企業では入社から15年、20年と経たなければ役員にはなれない。しかし勤続15年以上の社員の男女比の平均を見てみると、女性は男性の半分ほどしかいない。つまり、幹部候補になる女性社員は分母が少ないということだ。仮に実力がある女性がいればどんどん使うと思うし、業績が今よりも上がると考えれば女性をどんどん活用するはずだが、それをしないのは、むしろ企業としては今の配置が最適だと思っているからだ。その意味では、女性差別というより、いわゆる終身雇用や年功序列と呼ばれる日本の非常に特殊な労働環境を解決しなければならない。とはいえ、政府が“男女比を半々にしなさい”などと介入するのは良くない。なぜなら、適性がない人まで役員にしてしまって業績が落ちたとして、その責任を政府は取れるのか、ということになるからだ」。
こうした池田氏の主張に対し、ロンドンブーツ1号2号の田村淳は「とにかく男女比を半々にしてしまって、どんな問題点が出てくるのかを見た方がいいのではないか。そこから新しいアイデアも生まれると思うし、仮に業績が落ちても“別の人に代えさせてもらう”と言えばわかってもらえると思う。利益追求だけを考えればCO2削減にも協力しない方がいいが、それでも“ここに向かって進むべきだ”という数字は掲げている」、テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「減税などの優遇措置によって方向付けていくという形はあるかもしれない」と提案。
また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「女性役員を増やすことで企業イメージが良くなり、業績が上がるということは考えられないだろうか」、EXITの兼近大樹も「CO2削減も企業のブランドになっていっていると思うし、男女平等を求める声を上げ続けることで、それがブランドになっていくと思う。それしかないと思う」と問題提起した。
しかし池田氏は「“やりましょう”と言うのはいいが、女性比率を一定にしなかった企業から罰金を取る、つまり国家権力が介入するということについては慎重でなければならないというのが近代社会の基本的なモラルだ。そして皆さんがおっしゃっているのは、いわゆる“結果の平等”だ。そうではなく、そもそも機会が平等になっていないことが問題だということだ。フランス革命の“自由・平等・博愛”のうち“平等”は機会の均等を指しているのであって、結果の平等ではない。
今の日本の終身雇用の社会は中途採用が少なく、新卒で採用されて定年まで勤め上げる人がモデルになっているが、そんなのは先進国の中でも日本にしかない。だから結婚・出産をする女性は幹部コースに戻りづらい。それをいわゆる“総合職”という形で是正しようとしたが、これも一度辞めれば元のようには戻りづらいのが現実だ。つまり性別に関係なく、どんな年齢で就職しても、どんな年齢で辞めても採用されるようにし、どんどん管理職や役員になれるようにするということが必要だ。そして、こうした雇用慣行こそ政治家を変え労働基準法や労働契約法とった変な法律を変えなければならない。働き方改革によってそれを訴えていたのが安倍政権だったが、厚生労働省が抵抗して潰してしまった」と反論した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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