「-1」にはなりたくない!高見泰地七段、18歳コンビの前で意地の勝ち越し「心拍数がすごい…」/将棋・ABEMAトーナメント
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 「-1」にはなるものか!そんな最年長者の意地が勝ち越しへの一手につながった。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」の予選Aリーグ・第1試合、チーム藤井とチーム稲葉の対戦が4月10日に放送され、チーム藤井の高見泰地七段(27)が稲葉陽八段(32)と1勝1敗、久保利明九段(45)に1勝の、計2勝1敗と勝ち越した。チームは藤井聡太王位・棋聖(18)、伊藤匠四段(18)という18歳コンビに高見七段が加わった「最年少+1」。絶対に足を引っ張りたくないという先輩の思いが、後輩棋士にも強く伝わった。

【動画】藤井聡太王位・棋聖が快勝した一局(1時間15分~)

 今大会、そしてチームとしての初戦を任された高見七段。ただ、相手チームのリーダー稲葉八段と相掛かりの将棋になると、序盤から大駒を切り飛ばして勝負に出たものの、ペースをつかまれ苦戦に。持ち時間もじりじりと減らすと、99手で投了した。対局後は「最年少-1になってしまった」と、自虐のジョークも交えて語ったものの、悔しさと責任感がふつふつとこみ上げていた。

 次の出番は第4局。前回大会で絶好調だったベテランかつ振り飛車のエース、久保九段との対戦だった。角交換から久保九段が三間飛車を採用する中、序盤・中盤と耐えていくと、好機が到来。相手が2枚使っている飛車の位置が悪いことを見極めると、解説の井出隼平五段(29)が「絶対、王手飛車じゃないですか!」と指摘するとおりの順で、強烈な一手。後に2枚目の飛車まで捕獲する完勝で、自身の星を五分に戻した。

 タイトル経験もある実力者だからこそ、伸び伸びと指せればその力はトップクラスだ。第7局に稲葉八段と、この日2度目の対戦となったが、第1局よりも力強く指し進めた。角換わりの出だしから難解な局面が連続したものの、長手数の詰み筋が見えたところでは「最後はハンターになったつもりで、絶対に詰ましてやろうと思ってやっていました」と、勝負師の本性剥き出しでチームの勝利を決める白星を先輩棋士からもぎ取った。

「-1」にはなりたくない!高見泰地七段、18歳コンビの前で意地の勝ち越し「心拍数がすごい…」/将棋・ABEMAトーナメント
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 チームにしっかりと「+1」をもたらした直後には「まだ心拍数がすごいんですけど…」と興奮を抑えきれなかったが「今回は最後を決める、いいところをもらえました。困った時に助け合うのが団体戦。年長者としていい雰囲気で、上を目指したいです」と、持ち前のトーク力も時間が経つことに戻ってきた。若手有利と言われる超早指し戦。まだ27歳と若いが、さらに若く9歳下の2人の強さにはチームメイトであっても脅威を感じる。それでも先輩として見せる戦い様は、間違いなく後輩にも、そしてファンにも感動を与える。

◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。

ABEMA/将棋チャンネルより)

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